イルカと泳ぎ、イルカを食べる の商品レビュー
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2010年(底本1997年)刊。イルカを定点とし環境・生態系保全を簡明な記述で検討。海豚の食用利用の実態、捕殺の実害、水族館での調教の是非、各地のドルフィンウオッチング、環境保護団体の活動と暗躍、水産物に対する害銃たる海豚等広範解説。海豚の食用の可否の結論は簡単に出ないし、出していない。著者は人間重視の生態系保護論に立ち、所謂シーシェパードのような立場とは一線を画するが、それでも乱獲気味で個体数を減らしがちな漁業関係者にも懐疑的。情報公開の稚拙さと業界目線の水産庁には批判的。環境省の役割にも事後は注目。
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イルカやクジラをめぐる文化と保護の対立問題。 価値観の対立しがちな面倒な問題だけれども、著者は両者の視点をうまく整理して、なるべく中立的な立場から具体的な事例を教えてくれる。 感情的な部分をなるべく排除して冷静に両者の論理を眺めてみる。 「なんでイルカばっかり注目するんだ?」と...
イルカやクジラをめぐる文化と保護の対立問題。 価値観の対立しがちな面倒な問題だけれども、著者は両者の視点をうまく整理して、なるべく中立的な立場から具体的な事例を教えてくれる。 感情的な部分をなるべく排除して冷静に両者の論理を眺めてみる。 「なんでイルカばっかり注目するんだ?」という漁師の素朴な疑問、「他にもいっぱい魚はいるのにどうしてイルカを食べるの?」という愛護者の疑問、それらはどっちも素朴な自分の価値観からくるものだ。 一方で、漁獲量のごまかしが過去にあった事実、日本に限らないが、乱獲によって個体数が激減した事例もあるのもまた事実だ。一田舎のおっちゃんの集まる漁業組合の現場で、実際にデータに基づいて適正な量の漁獲を行う、というのは、よくよく考えれば難しいことは分かる。でかい網を投げたら、保護種か否かに関わらず、ひっかっかちゃうんだもの。そんな現場の声は、頭で考える「保護」の難しさを考えさせられる。 いま、水族館のイルカショーは、少しずつ変わっているように見える。自然との共生、イルカとの共生を前面にアピールしているのが分かる。しかし、もう一歩先の段階に進み、繁殖・自然への回帰・個体数の増加など、様々な試みに取り組まなければ、水族館も動物園もその存在意義を疑われる時代になっていると思われる。 川端裕人さんは、『PTA再活用論』などで、現在のPTAについても疑問を投げかけるなど、最近でも記事で話題になり、その活動の幅は広い。 こうした「めんどくさい」問題に真剣に向き合っている人なんだなぁと思う。
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The Coveの問題は多少なりと興味がありました。みてないんですけどねw また、水族館のイルカショーは、なんも考えたことないけど、好きですしね、野生のイルカはちと怖いけど、水族館とか飼い慣らされたイルカとは一度泳いでみたいです!イルカを嫌いな人はおそらく少ないでしょうね、で...
The Coveの問題は多少なりと興味がありました。みてないんですけどねw また、水族館のイルカショーは、なんも考えたことないけど、好きですしね、野生のイルカはちと怖いけど、水族館とか飼い慣らされたイルカとは一度泳いでみたいです!イルカを嫌いな人はおそらく少ないでしょうね、でもそれはペットとかに対する愛玩的なものだと思ってました。イルカと日本人のそもそもの付き合い方とか「知らない」→「少しは知ってる」になれた本です。
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文庫本で読む。単行本は十年以上前に出されているとのこと。あとがきでその後のことが書かれているが、状況は大きく変わっていないよう。
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鯨類は大好きだ。 小笠原や御蔵、沖縄、バハマ、トンガに鯨類を見に行ったこともある けれど、捕鯨も、鯨類を食料とすることにも、反対するつもりはない 鯨類を食べたこともある 鯨類を神聖視するかのようなスピリチュアル系の人たちとは合わないなぁ・・・と思う この著者の立ち位置が、私に...
鯨類は大好きだ。 小笠原や御蔵、沖縄、バハマ、トンガに鯨類を見に行ったこともある けれど、捕鯨も、鯨類を食料とすることにも、反対するつもりはない 鯨類を食べたこともある 鯨類を神聖視するかのようなスピリチュアル系の人たちとは合わないなぁ・・・と思う この著者の立ち位置が、私には近いかもしれない
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自称「イルカ好き」の筆者だが、捕鯨問題について可能な限り公正な立場から理解しようとしていて好感が持てる。ドルフィンスイムを楽しみながらもそこに過剰に精神性、ヒーリングを求める姿勢には疑問を呈し、イルカ漁師と酒を酌み交わしてイルカも一緒に食べた上で、漁の正当性を問う。この問題は感情...
自称「イルカ好き」の筆者だが、捕鯨問題について可能な限り公正な立場から理解しようとしていて好感が持てる。ドルフィンスイムを楽しみながらもそこに過剰に精神性、ヒーリングを求める姿勢には疑問を呈し、イルカ漁師と酒を酌み交わしてイルカも一緒に食べた上で、漁の正当性を問う。この問題は感情論に陥って議論が停まってしまうのが常だけれど、筆者はギリギリのところで踏みとどまり、あくまでも理性的に解答を探し続けている。未だ明確な答えは出ていないが、議論を尽くす上でこうしたスタンスが重要だと思う。
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