上方武士道 新装版 の商品レビュー

司馬遼太郎(著者)

2012/11/13

風神の門と同時期、司馬さん最初期のの時代小説。公家出身の剣客と言う着想を得た時点で盛り上がったであろうことが想像されます。

右近衛少将高野則近が密偵史として禁を破り江戸への下向旅。名張の青不動（在郷伊賀忍者）、商人侍の百済門兵衛、薬問屋小西屋のお悠、内親王冬子、京都所司代の差し向ける黒い雅客の頭目千織の執拗な追撃、千織の祖父、望月多仲との対決。魅力的なキャラクター多数。前半は息を飲む追撃戦と攻防。途中からテンポ変わってしまっている感はあり。

東海道を江戸へと宿場を進めつつ、公家侍の世間にうぶな視点を通して、幕末の世相が様々に描かれます。江戸幕府の衰退、弱体化する各藩下級武士の苦境、攘夷浪士、隠亡の心情、公家の荒廃、街道やくざ含めた庶民の時代の大きな転換点への期待とあきらめ。この最初期の作品時点で、後に司馬さんが描く歴史小説の様々な芽が既に温められていること知ることができます。

でもまだ悩みながら書いてますね。娯楽小説たろうとして努力しちゃってますね。 でも面白かった。

2011/11/26

司馬遼太郎の初期だろう。前半はシリアスな感じで公家出身の隠密の活躍が描かれるが、東海道を江戸に下るにつれ、道中で出会った人との挿話、女性ネタばかりになり、ドンドン低俗になっていく感じ。