死なない男に恋した少女(7) の商品レビュー
様々な事を考えさせる余韻を残しながらも纏まりは良かった
一応の完結、一応の大団円なのだが、このシリーズは途轍もなく重いテーマを抱えていたので、何となくちょっぴりスッキリしないのは致し方ないところであろう。恭子と狗斗がこれから目指していくであろう生き方の是非を判断するのは難しい。そもそも、どうすれば正しいのかさえ難しい命題である。死を以...
一応の完結、一応の大団円なのだが、このシリーズは途轍もなく重いテーマを抱えていたので、何となくちょっぴりスッキリしないのは致し方ないところであろう。恭子と狗斗がこれから目指していくであろう生き方の是非を判断するのは難しい。そもそも、どうすれば正しいのかさえ難しい命題である。死を以て償うのか、贖罪を求めつつ生き続けるのか。それとも生き続けることが贖罪なのか。本巻で辿り着いた方向性から考えるならば、ここはハンデを背負った人や社会に馴染めず脱落しそうな人が歯を食いしばってでも生きていく、生に執着することの意義を問うているように解釈したい。この観点だと、狗斗の唯一無二の理解者であり味方である姉の言葉を受けて、恭子の唯一無二の理解者であり味方である狗斗が発した言葉の意味が透けて見えてくる。この想いのリレーが見事だった。 ストーリーは極めてシンプル。最後らしく最強にして最凶の敵との最終決戦である。恭子の要素と狗斗の特性を併せ持つアイデアは良かった。これにより狗斗の体質について(かなり強引ではあるが)一応のエクスキューズがなされてもいる。背景や設定にも多少の強引さは見受けられたものの、【組織】の成り立ちやハルの秘密についても整然と判明していく流れが出来ていた。本音を吐露しつつも毅然と振る舞おうとするりんが最後まで文字通り凛としていたことも好印象。場合によっては病んでしまう展開もあるかしらん?とか思っていたので。 軽妙洒脱なセリフ回しと心の機微を上手に描きつつ社会風刺の視点も盛り込んだ筆致が秀逸な作者なので、次にはこれらの点を大いに活かしたライトなラヴコメなんぞを読んでみたい。本巻最後にあった『昼は私が刺し……』みたいな「サイテー(笑)」なノリは残しつつ。
DSK
この巻で完結。まあいろいろ気に入らないところはあったが、ぷよさんのイラストのレベルアップも含めて良かったんじゃないかと思う。 気に入らなかった点のひとつは、今回ラスボスが登場するが、国家レベルの力を使っても捕まえることすら出来ないという説明があまりに納得できなくて、前半の導入部を...
この巻で完結。まあいろいろ気に入らないところはあったが、ぷよさんのイラストのレベルアップも含めて良かったんじゃないかと思う。 気に入らなかった点のひとつは、今回ラスボスが登場するが、国家レベルの力を使っても捕まえることすら出来ないという説明があまりに納得できなくて、前半の導入部をすっきり読み進めることができなかったこと。強力な粘着弾やナイフじゃ切れない捕縛網などちょっと考えてもいろいろとあると思うんだよね。もちろん超高速で移動して触ることすらできない敵というなら無理かも知れないけど余裕みせて結構攻撃を受けてるわけだから、作者が強引に捕まえられないんだと言ってるだけでもっと説得力のある強さをもたせたほうがわかりやすかったんじゃないかと思った。もうひとつ気に入らなかったのはあくまで個人的な思いになるが、りんへもうちょっとテコ入れが欲しかった。最終巻だし。なんというか、いい子でも地味だと恋愛の相手にされないみたいな雰囲気があって可哀想に思えてしまった。難しい設定で7巻まで続けてきたことは素直に感心してるので、次回作を楽しみに待ちたいと思う。
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