ヒコベエ の商品レビュー
これは、限りなく自伝に近い小説です。 今までいろんなエッセイや講演で話したエピソードが時系列に沿って並んでいるという感じ。 でも、新田次郎の山岳小説の読者で藤原ていの人生相談(於読売新聞紙上)ファンだった自分には、フィクションを加えない方がありがたいです。有名人の息子ってこういう...
これは、限りなく自伝に近い小説です。 今までいろんなエッセイや講演で話したエピソードが時系列に沿って並んでいるという感じ。 でも、新田次郎の山岳小説の読者で藤原ていの人生相談(於読売新聞紙上)ファンだった自分には、フィクションを加えない方がありがたいです。有名人の息子ってこういうとき得ですね(笑) ただ、ひこべえ少年が「小公女」「若草物語」「赤毛のアン」だけはなんだ女の話かと思って読まなかったという話は、事実だからってそのまま書かずともよかろうにと思いました。 『女の話』を見下げられて、うれしい女がいるでしょうか? 『女の話』は読む価値無しと言われたときに女の感ずる痛みを、品格ある大人になった正彦さんは意識しないのかと、とても悲しく思います。
Posted by
藤原正彦先生の自伝的小説。授業も面白いと思ったけど人生すべてが面白いんだろうな。昔のほうが楽しそうだ。幸せそうだ。
Posted by
作者の自叙伝というよりは、大好きな新田次郎について久々にふれることができる本だった。ヒコベエの成長に併せて、満州からの引き上げの様子、「流れる星は生きている」が世に出た事情、気象台に勤務しながらいよいよ新田次郎の誕生!そして売れるまで等々。新田次郎はほとんど私生活を語らなかった人...
作者の自叙伝というよりは、大好きな新田次郎について久々にふれることができる本だった。ヒコベエの成長に併せて、満州からの引き上げの様子、「流れる星は生きている」が世に出た事情、気象台に勤務しながらいよいよ新田次郎の誕生!そして売れるまで等々。新田次郎はほとんど私生活を語らなかった人(多分)だから、それはそれは興味深い。
Posted by
傑作! 大好きな藤原正彦先生の初の自伝小説。 これは是非、氏のご母堂の著作「流れる星は生きている」を併せて読んでほしい。 読み始めて数十ページで、声をあげて笑ったり、引き揚げの話(詳細は上記「流れる星…」に描かれている。壮絶の一言)を思い出して涙したり、あっというまにヒコベエこと...
傑作! 大好きな藤原正彦先生の初の自伝小説。 これは是非、氏のご母堂の著作「流れる星は生きている」を併せて読んでほしい。 読み始めて数十ページで、声をあげて笑ったり、引き揚げの話(詳細は上記「流れる星…」に描かれている。壮絶の一言)を思い出して涙したり、あっというまにヒコベエこと藤原正彦少年の世界に引き込まれた。 野山を、そして東京の街を元気いっぱい駆け回る天真爛漫な正彦少年が、幼少のころから数学者としての片りんを見せていたこと、思うような教育も受けられなかったご両親だが、やはり作家たるべく才能を秘めたご両親だったこと…。 命からがら満州から引き揚げてきた親子が、極貧の中、卑屈になることなく逞しくまっすぐに、古き良き日本の昭和の時代を生き抜いていく様が生き生きと描かれている。 良い本を読んだと思う。
Posted by
数学者としてまた優れたエッセイストしても知られる藤原さんの初の小説。2005年に発表された著書、『国家の品格』が一大ベストセラーになったのも記憶に新しいところだ。さて、今回の小説は自らあとがきに書いているとおり、その生い立ちから小学6年生までの自伝的な物語だ。満州からの悲惨な引き...
数学者としてまた優れたエッセイストしても知られる藤原さんの初の小説。2005年に発表された著書、『国家の品格』が一大ベストセラーになったのも記憶に新しいところだ。さて、今回の小説は自らあとがきに書いているとおり、その生い立ちから小学6年生までの自伝的な物語だ。満州からの悲惨な引き揚げの話に、自分の家庭の貧しさも併せて、戦後当時の日本の様子を描いている。まあ、エリートとしての強烈な自負心に満ち溢れた回想だ。幼いころから腕白で、算数がよく出来た話の数々。登場する親戚縁者や近所の知人に教わった教師など、優秀な名前がずらずらと登場するのだ。もちろん後世の成功譚からすれば当然の話なんだろうが、それでも読み手としては、ところどころで自慢話に辟易する。読んでいてホッとするところは、信州・茅野の母の実家で過ごす生き生きした夏休みの様子ぐらいだ。
Posted by
藤原さんのエッセイは面白くて全部読んでいる。 この本は初の自伝小説。戦後の貧しくものびのびとやんちゃに過ごした少年時代が、生き生きと書かれている。 満州からの引き揚げの様子、作家のご両親の話を含め、時代背景を学びつつ楽しく読めた。 こんな子供時代を今の子たちは過ごせない。 詳細に...
藤原さんのエッセイは面白くて全部読んでいる。 この本は初の自伝小説。戦後の貧しくものびのびとやんちゃに過ごした少年時代が、生き生きと書かれている。 満州からの引き揚げの様子、作家のご両親の話を含め、時代背景を学びつつ楽しく読めた。 こんな子供時代を今の子たちは過ごせない。 詳細に記憶されているのは、賢いだけでなくよほどいい思い出なんだろう。うらやましくなった。
Posted by
- 1
- 2