高齢者の妄想 の商品レビュー

浅野弘毅,阿保順子【編】

2016/02/28

認知症患者の妄想生成過程は、能力あるいは関係性などの『喪失体験⇨喪失感⇨両価感情⇨依存することが受け入れがたい人柄⇨依存欲求⇨攻撃性という順序』で構成され、妄想対象に対する依存的心情を隠し持っている。
心理・社会的要因というのも、その人のそれまでの全人生が集約されてのことであり、しかも妄想を呈する場合、周囲の者たちとの何がしかの関係がそこに反映されている。単なる症状として捉えるのではなく、その人の人生史の現れとしてみる視点が必要になってくる。

2010/08/28

内容：　作話と被害妄想　／　大井玄著
花咲くをとめ達　／　星野征光著
猫と私と、時々、団地　／　岩田明子著
高齢者が妄想を呈する時　／　高田知二著
一人暮らしの女性高齢者の幻覚妄想状態　／　粟田主一，　櫻田久美著
妄想と高齢者、援助者との関係　／　小野寺敦志著
木陰で老い人の不思議な語りを聴く　／　西川勝著
認知症高齢者と妄想　／　高橋幸男著
配偶者のいる孤独　／　近藤等著
高齢者の妄想　／　浅野弘毅著
虚構と現実が行き交う場所　／　阿保順子著
内容事項 高齢者が不遇をかこって孤独と妄想の中で呻吟している有り様は、老いを排除と介護の対象として捉え、老いの居場所が奪われていることを示している。そんな高齢者の心的世界を精神医学的考察と臨床によって解読する。