青獣の美餌 の商品レビュー
設定の寛容と思想の理解が求めらる作品
フランス書院文庫官能大賞 特別賞受賞作ではあるが、新人さんらしい尖り具合が好みを分けるというか読み手を選ぶというか、何ともレビューの難しい作品である。本作を楽しむには、まず主人公の設定を受け入れなければならない。まだラントセル背負ってる年齢の美少年にしてセックスの達人、数多くの経...
フランス書院文庫官能大賞 特別賞受賞作ではあるが、新人さんらしい尖り具合が好みを分けるというか読み手を選ぶというか、何ともレビューの難しい作品である。本作を楽しむには、まず主人公の設定を受け入れなければならない。まだラントセル背負ってる年齢の美少年にしてセックスの達人、数多くの経験から得られたテクニックで女をたちどころに堕とす悪魔少年である。34歳の人妻(友達の母)と24歳の担任教師というヒロイン達のキャラは悪くないが、空閨につけ込まれた“お誘い”に乗じた、肉欲的な即堕ちには「お母さん、そんなに早く溺れちゃっていいの?」という気もするし、理事長の孫だからと興味もないのに先生している担任教師の、先生にあるまじき高飛車振りにも、後々の伏線とはいえ違和感があった。ただ、この女王様然とした先生と清楚でウブな人妻とで堕とし方を好対照に変えているのは良かったし、ご主人様よろしく居丈高に責め立て、調教の過程を盛り込みながら連続中出しを繰り返す描写も興奮度の高いものではあった。しかし、本作は凌辱作品と言えるほど凌辱っぽくないのである。執拗な言葉責めで心を蕩けさせつつ“大義名分”を与えることでヒロインから行動させる歪み具合は一連の田沼淳一作品にどことなく似ているようにも思った。あと、後半に至っては完全に誘惑系である。母性を発揮する人妻と恋する乙女に変貌した担任教師とが、お互いを認め合って共にご奉仕する流れを凌辱スキーな読み手がどこまで受け入れるか少々疑問。さらには、この顛末を導きながら、さらに歪んだ未来まで夢想する主人公の感覚、ひいては作者の女性に対する感覚を理解しなければならないだろう。失礼ながら、ちょっと頭のネジが数本緩んでいる気もしてしまうが、逆にこれがいいという考え方も……あるかな?
DSK
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