芥川賞はなぜ村上春樹に与えられなかったか の商品レビュー
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村上春樹がなぜ芥川賞をもらえなかったのか。そこから日本文学の流れを紐解いていく。そこにスリルがあった。春樹の小説がよくわかる(わかった気になれる)のがいい。
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[ 内容 ] 『1Q84』にもその名が登場する日本でもっとも有名な新人文学賞・芥川賞が、今や世界的作家となった村上春樹に授賞しなかったのはなぜなのか。 一九七九年『風の歌を聴け』、八〇年『一九七三年のピンボール』で候補になったものの、その評価は「外国翻訳小説の読み過ぎ」など散々な有様。 群像新人文学賞を春樹に与えた吉行淳之介も、芥川賞では「もう一作読まないと、心細い」と弱腰の姿勢を見せている。 いったい選考会で何があったのか。 そもそも芥川賞とは何なのか。 気鋭の文芸評論家が描き出す日本の文学の内実と未来。 [ 目次 ] 「でかいこと」としての芥川賞 『風の歌を聴け』がアメリカ的であるのはなぜ? 「戦争花嫁」としての戦後ニッポン 芥川賞と「父の喪失」とニッポンの小説 そもそも芥川賞が「でかく」なった理由 夕暮れのマジック メロスはなんで「走る」のか 「明治」から考える 社会の一部としての「小説」 『坊っちゃん』のヒロインって? もういちど、芥川賞と「父の喪失」 ニッポンの小説―おわりに [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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面白く読みました。(*^_^*)なぜ春樹さんは芥川賞をもらってなかったか、あまり気にしたことはなかったのだけど、そっか、こういうわけだったんだろうな、と、市川真人さんが推測するあれこれに、とストンと納得できたのがよかったです。タイトル中の「与えられなかったか」は、受け身だけではな...
面白く読みました。(*^_^*)なぜ春樹さんは芥川賞をもらってなかったか、あまり気にしたことはなかったのだけど、そっか、こういうわけだったんだろうな、と、市川真人さんが推測するあれこれに、とストンと納得できたのがよかったです。タイトル中の「与えられなかったか」は、受け身だけではなく可能の助動詞もかけている、というあたりが可笑しい。しかも、選考委員の見る目がなかった、という従来の言い方だけではなく、時代が求めていた「小説」が扱う内容(特に父性ね)と初期の二作がかけ離れていたせいで見送りとなったと。(また実際、春樹さん自身も「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」について自分としては出来がよろしくない、みたいに言われているし。)そして、「羊をめぐる冒険」は芥川賞が対象とする中編を越えた長編になってしまったし、その後「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」で谷崎潤一郎賞という中堅に与えられる賞をとってしまったことで、新人作家にための芥川賞とは縁がなくなったという、ある意味リーズナブル(*^_^*)な理由が淡々と語られていてこちらもなんか可笑しい。この本では、春樹さん以外に、「坊ちゃん」内の明治VS江戸的性格の対比とか、「走れメロス」の夕焼けの持つ力、とか、ふんふん、なるほどね(なんて偉そうだけど自分!)も面白く、また、日本の国語教育にまで話が進展して、明治以降の教育は、日本人が共同意識を持つためになされた、なんて言われると、うん、そうだよね、それって大きい!とか軽いノリで頷いてしまうところもよかった。春樹さんの話を読みたくて手に取ったら、意外なおまけがたくさんついてきた、というお得な一冊でした。
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芥川賞、父親、1Q84(あるいは村上春樹)に関心のある人は、きっと興味深く読める本。キャッチーなタイトルに比して、内容の広がりは相当のもの、小説の読み方が、少し増える本です。
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