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北欧紀行 古き町にて の商品レビュー

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2016/10/15

まさに北欧の清々しくかつ素朴な魅力が伝えられて、なかなか良い。 冷徹で、灰色の塔が空につきさすようなストックホルム、しかし朝の入り江を入っていく景色の美しさは本当に同感。 一方、フィンランドについては森と水の国とした上で、帝政ロシアの名残をも指摘しているのである。 長期の北欧旅...

まさに北欧の清々しくかつ素朴な魅力が伝えられて、なかなか良い。 冷徹で、灰色の塔が空につきさすようなストックホルム、しかし朝の入り江を入っていく景色の美しさは本当に同感。 一方、フィンランドについては森と水の国とした上で、帝政ロシアの名残をも指摘しているのである。 長期の北欧旅行を通じ、幸福についての考え(「消極的な喜びを意味するのかも」)を展開したり、あるいは出会った人との間でお互いの国(北欧と日本)を「良い国」「美しい国」と誉め合うあたりは、まさしく北欧旅行の心髄にも思う。 そしてまた、そうした挙句、あとがきで北欧の街を絶賛するくだりは、俺自身が北欧で抱いた賛辞にまさに近い。 いわく、 「久しい前から古い町が心の中に在った。(中略)私の心に描いていた古い町は、もの静かな北方の光の中に息づいていた。私は、私の遍歴が何を探してのものであるかをこの旅で知った。それは、失われた故郷――心の故郷を探してのものであった」 それにしても、『日本の美を求めて』という著書もある東山魁夷が、こうも北欧に魅せられていたとは知らなかった。 普段よりやや多色で明るい印象の色遣いは、リトグラフゆえか。 北欧画集も、ほしくなった。

Posted byブクログ