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さすらいの舞姫 の商品レビュー

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2017/09/22

1930年代から40年代にかけて名声を得たモダンバレエの伝説的名ダンサー、崔承喜をモデルにした小説です。日本統治下の朝鮮半島出身者として、名声が高まるとともに波乱に満ちた人生を歩まざるを得なかった悲劇の女性です。著者は精力的な調査に基づいて、基本的な事実関係は正確に踏まえて書いて...

1930年代から40年代にかけて名声を得たモダンバレエの伝説的名ダンサー、崔承喜をモデルにした小説です。日本統治下の朝鮮半島出身者として、名声が高まるとともに波乱に満ちた人生を歩まざるを得なかった悲劇の女性です。著者は精力的な調査に基づいて、基本的な事実関係は正確に踏まえて書いていると思われますが、登場人物の心理描写などはあくまでも小説です。 それにしても、崔承喜さんのまともな記録、特にその全盛期の踊る映像が残っていないのは大変残念です。

Posted byブクログ

2016/07/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

直木賞作家西木正明氏が第二次世界大戦前後に活躍し、そのご消息を絶ったというバレリーナ崔承喜さんの数奇な運命を丁寧に描いた作品「さすらいの舞姫」を読了。丁寧な取材による実の積み重ねと歴史資料とそれを映像を見ているかのように感じさせる著者の筆力とによって完成された戦前戦後のバレリーナがたどった栄光の道と哀しい結末の物語は、崔承喜という名を一度も聞いた事が無い人も静かな感動を得る事が出来ると思う。彼女のバレーの師匠はかの自由が丘駅の由来に関係する二人の明治の男のうちの一人石井漠舞踊研究所の所長石井漠氏(もう一人は自由が丘学園の創始者手塚岸衛氏)で、彼の人生もそうとうに面白いのだが、この小説ではそこには踏み込まずに、崔承喜さんとその家族に焦点を当ててている。それだけでも900ページを超える大作なのだが。朝鮮半島分断の歴史も深く学ぶ事が出来、人々の利益とはまったく別に蠢く政治家達の恐ろしさも感じる事が出来る作品となっている。一読の価値ありです。

Posted byブクログ