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ノーツ オン フォトグラフィー の商品レビュー

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2010/09/12

ヒントの多い本である。 読む人のステージによって受け取ることの違う本でもある。 時系列で著者の写真にまつわる思い出から思想が並んでいるのだが 最初のうちは無目的に写真を撮っては酒を飲んでいるだけで大変退屈である。 まさか文章が本業では無い写真家の文とはいえずっとこの調子ではある...

ヒントの多い本である。 読む人のステージによって受け取ることの違う本でもある。 時系列で著者の写真にまつわる思い出から思想が並んでいるのだが 最初のうちは無目的に写真を撮っては酒を飲んでいるだけで大変退屈である。 まさか文章が本業では無い写真家の文とはいえずっとこの調子ではあるまいな。 と思っていたが中盤からがぜん面白くなってくる。 文章はずっと淡々とした描写で ありのままをシンプルに書いているのだが 本人がターニングポイントとして意識しているのだろう 海外での受賞から日本で確固とした基盤を築くあたりは筆先が熱い。 そしてそこからまた静かな日常へと描写は移る。 写真家として、作家として日本でやっていくためのヒントがちりばめられている。 ただ、「ヒント」の域を出ていないので「これだ!」という キーワードに突き当ったら自分で調べなくてはいけない。 それに何をもって「ヒント」だと思うかも人それぞれである。 そんなに文章量の多くない本なので簡単に読めてしまうのだけれど 目を凝らせば発見の多い本である。 彼は同時代を生き、今も活躍中の作家なので作品と照らし合わせながら読んでも面白い。

Posted byブクログ