過労死の労災申請 の商品レビュー
本書は過労死及び過労自殺の遺族や支援者の体験を集めて編集されたものであり、行政が制作する認定要件のみを述べた同種の書に比べて読み易く実務的である。また、平成21年4月改正版の内容であり、最新の認定要件を頭に入れるのに絶好である。実際に家族を亡くした遺族のみならず、過労状態に置かれ...
本書は過労死及び過労自殺の遺族や支援者の体験を集めて編集されたものであり、行政が制作する認定要件のみを述べた同種の書に比べて読み易く実務的である。また、平成21年4月改正版の内容であり、最新の認定要件を頭に入れるのに絶好である。実際に家族を亡くした遺族のみならず、過労状態に置かれている家族を持つ方、企業の労務担当者、社労士なども読むべき書。 私が興味深かったのは、労働時間を証明する証拠資料についてである。通常、企業が提出する出勤簿やタイムカードで労働時間を算定することが多いが、何かしら操作や改ざんが為されているケースが多い。言わば、実際よりも過少申告であるのだ。 そこで本書では、以下の補助資料が有効であるとしている。 企業が持っている資料 ・セキュリティカードの記録 ・パソコンのログ履歴 ・守衛や警備保障会社の記録 ・監視カメラの記録 ・夜間金庫への入庫記録 ・健康診断の際のアンケート調査結果 遺族の自宅にある資料 ・メールの送受信記録(「今から帰る」メールなど) ・乗車ICカードの利用記録(出退勤時間を類推可能) ・自宅でよく見るテレビ番組(出勤時間や帰宅時間などの証明) ・ビデオの録画記録(帰宅時間が遅いことの証明) どれも、労働時間を必ずしも正確に示すものではないものの、企業が提出したタイムカードの正確性を確認する手段として有効である。
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