1,800円以上の注文で送料無料

辺境生物探訪記 の商品レビュー

4.3

18件のお客様レビュー

  1. 5つ

    7

  2. 4つ

    7

  3. 3つ

    2

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2018/10/31

最終章では佐々木氏を交えて、地球外生物や生物の本質を語っている。骨格となる原子が炭素から珪素に変わっていくとか、酸化・還元反応で用いられる水素と酸素の比が今は1000倍くらいだが、酸素が増えてくれば生物が繁栄するとかいった考え方がおもしろかった。 ・最後の共通祖先(LUCA)は...

最終章では佐々木氏を交えて、地球外生物や生物の本質を語っている。骨格となる原子が炭素から珪素に変わっていくとか、酸化・還元反応で用いられる水素と酸素の比が今は1000倍くらいだが、酸素が増えてくれば生物が繁栄するとかいった考え方がおもしろかった。 ・最後の共通祖先(LUCA)は、ミトコンドリアの祖先であるαプロテオバクテリアに近い。 ・地下は深さ1kmごとに20〜30℃温度が上がる。生物が耐えられるのは110〜120度くらいなので、深さ5kmくらいまでは生物が存在すると考えられる。地下の生物量は数兆トンに達する可能性があり、地上の植物量1〜2兆トンと匹敵する。 ・マントルを構成するカンラン石は水と接触すると酸素を奪って水素を発生する。その水素をメタン生成菌が利用してメタンを作り、メタンを硫酸還元菌が利用するという流れが予想できる。 ・地殻現象は地下水の影響を受けていると考えられる。ダムを作って貯水池ができると地震が起きる例がいくつかある。 ・生物が放射線を受けると水がイオン化して酸化しやすくなり、DNAの二重らせんを切ってしまう。 ・直径5kmの岩の真中なら、宇宙空間でも放射線からまもられる。 ・火星の極域ではちょっと掘れば氷がある。低緯度にも含水鉱物が見つかっている。10kmくらいの谷底では、液体の水が安定する大気圧が得られる。 ・木星の第2衛星エウロパの地下には液体があるのは間違いない。 ・ガニメデには磁場があるため、中心に溶けている金属のコアがあると考えられる。表面の氷の下には海があり、その下で火山活動がある可能性がある。 ・土星の衛星タイタンには、メタンの雨が降って川が流れ、地球や火星と同じ地形ができている。メタンは非極性分子なので、膜がない生物が存在する可能性がある。 ・エンケラドゥスは直径500kmくらいで、地形が複雑な地域と衝突クレーターに覆われた古い地域にはっきり分かれている。氷を噴いているのは、潮汐熱源が偏った働き方をしているためと考えられる。 ・2億年前に二酸化珪素を使い始めた珪藻が生まれた。

Posted byブクログ

2017/08/16

ふか~い海の底から宇宙の果てまで、極限で生息する微生物のお話がメインの 対談集である。 対談って妙に専門的だったり、上滑りだったりするのだが本書はリード役の藤崎氏の 話の引き出し方が絶妙だ。世界の極地で研究を続ける長沼氏の知識を巧みにコント ロールしている。 南極や北極の寒冷...

ふか~い海の底から宇宙の果てまで、極限で生息する微生物のお話がメインの 対談集である。 対談って妙に専門的だったり、上滑りだったりするのだが本書はリード役の藤崎氏の 話の引き出し方が絶妙だ。世界の極地で研究を続ける長沼氏の知識を巧みにコント ロールしている。 南極や北極の寒冷地、砂漠のような乾燥地帯、高熱である火山の噴火口付近、 暗い地底。そこどこにも微生物は存在する。人間であればとても耐えることが 出来ない環境であっても。 話の行きつく先は宇宙となるのだが、地球以外の惑星にも生物の痕跡があり、 地球の生命の誕生は他の惑星からかも…なんて仮説は楽しい。 対談場所は予算の関係(?)で日本国内の温泉だったり、鳥取砂丘だったりなの だが、どこかお金のある出版社が本当に南極やサハラ砂漠での対談を実現して くれないだろうか。辺境での辺境生物対談こそ、実感を伴うと思うのだが。笑。 サイエンス入門書としていいかもしれぬ。カラー写真も豊富に掲載されている ので、写真を眺めるだけでも面白い。 個人的には解明されていないズワイガニの生態に興味津津である。なんで、餌 の周りにワサワサと大量に集まってくるのだろう。これを狙って密漁出来ない かなぁ…なんて悪いことを考えてみる。

Posted byブクログ

2012/02/10

科学界のインディー・ジョーンズこと長沼毅博士と環境SF『ハイドゥナン』の藤崎慎吾氏が辺境をキーワードに地球内外での生命について縦横に語り尽くす対談集。新書にも関わらず千四百円&四百頁超の価格とボリュームには少し怯むが心配御無用!藤崎氏の生真面目なツッコミと長沼氏の理学博士とは思え...

科学界のインディー・ジョーンズこと長沼毅博士と環境SF『ハイドゥナン』の藤崎慎吾氏が辺境をキーワードに地球内外での生命について縦横に語り尽くす対談集。新書にも関わらず千四百円&四百頁超の価格とボリュームには少し怯むが心配御無用!藤崎氏の生真面目なツッコミと長沼氏の理学博士とは思えない大陸的な受け答えが絶妙のハーモニーを醸し出す。テーマがテーマだけに一読理解できない場合もあるが、そんな些細なことは忘れてどんどん読み進めよう!苦労も多かった筈だが長沼博士の話にはロマンを感じる。次は『生命の星エウロパ』だ^^/

Posted byブクログ

2011/08/11

微生物についての話である。 辺境すなわち、極限環境で生きる微生物というのは、たとえば熱に強かったり、塩分に強かったり、放射線に強かったり、乾燥に強かったりと、その耐性の種類は様々だ。 しかし、その極限環境の厚みというか幅というか、その振幅量は実はそんなに多くない。たとえば、耐...

微生物についての話である。 辺境すなわち、極限環境で生きる微生物というのは、たとえば熱に強かったり、塩分に強かったり、放射線に強かったり、乾燥に強かったりと、その耐性の種類は様々だ。 しかし、その極限環境の厚みというか幅というか、その振幅量は実はそんなに多くない。たとえば、耐熱性の高い生物は現時点で122度の高温領域でも生きていられるが、およそ90度を下回ると活動できなくなってくる。 そんな話が面白かった。 他にも、定性的な話と定量的な話といったテーマや、ワンタイムのデータと連続レコードのデータといった話など、色々と思考の糧が増えた。

Posted byブクログ

2011/06/10

極地、砂漠、海底、地中、果ては宇宙まで、あらゆる過酷な環境下での生命の限界を探る。軽妙な語り口で語られるその内容は科学の最先端であり、生命の謎を探る知的冒険である。好奇心が刺激され続け、読み終わるのが勿体ない。読んだことを人に話したくなる。そんな数少ない一冊。

Posted byブクログ

2011/04/12

[ 内容 ] 南極や北極などの極地、深海底、火山、砂漠、地底、宇宙空間…低温、高温、高圧、乾燥、無酸素、高放射能など、どんな過酷な環境にも生命は存在する!?辺境生物学者で、「科学界のインディ・ジョーンズ」の異名を持つ長沼毅と、『クリスタルサイレンス』『ハイドゥナン』などの小説で辺...

[ 内容 ] 南極や北極などの極地、深海底、火山、砂漠、地底、宇宙空間…低温、高温、高圧、乾燥、無酸素、高放射能など、どんな過酷な環境にも生命は存在する!?辺境生物学者で、「科学界のインディ・ジョーンズ」の異名を持つ長沼毅と、『クリスタルサイレンス』『ハイドゥナン』などの小説で辺境を描いてきた藤崎慎吾が、地球の“極限環境”に生きる奇想天外な生物たちを訪ね、生命の謎や本質について語り合った。 生物学の最前線がわかり、科学の面白さが堪能できる一冊。 [ 目次 ] プロローグ 辺境の生物を訪ねる旅へ 第1幕 南極は“しょっぱい大陸” 第2幕 深海で出会った生物の「大群」 第3幕 原始地球は温泉三昧 第4幕 乾燥と「高イオン強度」に耐える生物 第5幕 「スローな生物学」への挑戦 第6幕 宇宙空間で生き延びる方法 エピローグ 生命は宇宙を破壊する [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

Posted byブクログ

2011/02/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 宇宙の成り立ちを知るためには、地球からなるべく遠く離れたところを観測するのが効果的だ。光が有限速なので、離れれば離れるほど、そこで観測されるデータは過去のものとなる。今見える100億光年離れた天体の姿は、つまり、100億年前の姿なのだ。  生命起源の話もこれに近い。生命の起源を探るには、今の地上とかけはなれた環境に生息している生命を観察するのがいい。高温、低温、強酸、あるいは強い宇宙線にさらされているなど。  この本はそうした環境下の生物について、その環境に近い場所(あるいは施設)で科学ライターと科学者とが語るというユニークなもの。そしてこの科学者の語りが学識が裏打ちした床の上を見事に飛び、跳ね回るもの。真摯でいて、学問的な軽さにめくるめく一冊。  P.S.ここには触れられていないが、生物好きなFマリノス・ファンは、ぜひ横須賀市自然人文博物館に足を運んで欲しい。もう、わくわくだったよ。

Posted byブクログ

2011/01/10

2011 1/9読了。Amazonで購入。 @sakstyleの書評(http://d.hatena.ne.jp/sakstyle/20101220/p1)を見てこれは面白そうだ、と思い購入。思った通り面白かった。いや、思った以上に面白かった。 基本的には微生物の話。詳しい内容に...

2011 1/9読了。Amazonで購入。 @sakstyleの書評(http://d.hatena.ne.jp/sakstyle/20101220/p1)を見てこれは面白そうだ、と思い購入。思った通り面白かった。いや、思った以上に面白かった。 基本的には微生物の話。詳しい内容については上記URL参照。 帯紙を見て、鳥取砂丘で砂漠向けの格好(コスプレ)をしている方が藤崎さん(作家・ライター)かと思ったら、長沼さん(研究者)だった。言動といい研究内容といい、面白すぎだろこの人。

Posted byブクログ