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2010/09/06

 読めない!記憶できない!  病室で意識を回復したクーパーマンは、失読症と呼ばれる奇病に陥っていた。記憶障害にも悩まされる彼は、真犯人の元へ辿りつけるのか?  失読症を自ら体験した著者が描く、前代未聞の探偵小説  第4回翻訳コンクール最優秀者翻訳作品。  一番の読みどころは、“...

 読めない!記憶できない!  病室で意識を回復したクーパーマンは、失読症と呼ばれる奇病に陥っていた。記憶障害にも悩まされる彼は、真犯人の元へ辿りつけるのか?  失読症を自ら体験した著者が描く、前代未聞の探偵小説  第4回翻訳コンクール最優秀者翻訳作品。  一番の読みどころは、“記憶障害を伴う失読症”という驚きの世界を、恐怖、苛立ち、微かな望み、挫折、期待を繰り返す探偵クーパーマンとともに堪能できることにある。そんなしんどい読み物なのか、と誤解しないでいただきたい。クーパーマンと昔の恋人アンナとのやりとりはなかなかに色っぽく、看護士キャロルとの受け答えのおとぼけは抱腹もので、見舞いに来てくれる両親との交流は胸にジンとくるヒューマンな魅力がいっぱいで、本書を味わい深いものにしている。  ミステリマガジン10月号で、「(作者)自らの身に降りかかってきた災いをミステリのアイデアとして昇華させたわけで、脱帽ものの偉業である」と杉江松恋氏レビューに紹介される。

Posted byブクログ