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靖国への帰還 の商品レビュー

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2014/02/09

命をかけて守るべきものがあるー。祖国、家族、同胞、恋人‥若者たちは皆死を覚悟で戦地に赴き、靖国神社で戦神として祀られることを心の拠り所として信じながら散っていった。戦時中の日本国民は老若男女関係なしに、皆一丸となって大日本帝国の安寧と発展を願い、戦い続けた。 終戦から60余年を...

命をかけて守るべきものがあるー。祖国、家族、同胞、恋人‥若者たちは皆死を覚悟で戦地に赴き、靖国神社で戦神として祀られることを心の拠り所として信じながら散っていった。戦時中の日本国民は老若男女関係なしに、皆一丸となって大日本帝国の安寧と発展を願い、戦い続けた。 終戦から60余年を経た今。日本人と日本を巡る世界の姿は如何なるものか。 戦時中は天皇万歳と口を揃えて戦い続けた日本人だが、日本の敗戦を告げる玉音放送を経て国際社会から非難され始めると、手のひらを返したように戦争責任者(A級戦犯と呼ばれる人物を始めとする戦争指導者)を指弾した。戦勝国の猛威に気圧され、日本人同士であるにも拘わらず、窮地に立たされると誰かに責任を転嫁することしかできないという脆弱な人間性が露呈した。 一方、戦勝国により一方的に裁かれるという半ば報復的儀式と化した極東軍事裁判。これによりかつて日本という国を、そして天皇、政治の実権を支配した軍上層部の名誉を守るため、手足となり懸命に動いた東条英機元首相はじめ戦争指導者たちは社会から抹殺された。まるで第二次世界大戦という名の大量殺戮最大の犯罪者という汚名を着せられるが如く‥ これ程にまで矛盾に満ち溢れて病んだ社会を守るために、過去の英霊たちは命を睹さねばならなかったのか。 本土決戦が激化する中、夜間戦闘機『月光』に乗り込んだ若き海軍中尉・武者滋は、決死の覚悟でB29の大編隊に突入する。被弾して薄れゆく意識の下で『月光』が舞い降りたのは、なんと現代の厚木基地だった。 現代に蘇った英霊、武者滋は同胞たちの声なき声を代弁し、靖国神社を巡る問題に立ち向かっていく。その彼を当時の恋人やその子、社会がどう迎えるのかー。 著者曰く「靖国神社を巡る問題は右も左も関係なく、日本人すべての問題として語られるべき」とのこと。 殊に現代において「靖国は軍国主義の象徴」と一括りにされるきらいがある。そのような認識を抱かれている方がいれば…是非とも本書をお薦めしたい。靖国問題に関する予備知識が無くとも、本書のストーリーを追いながら十分に理解できる内容となっている。少しでも靖国問題に対する正しい認識をもち、ご自分なりの「日本人としての意見」をもたれるのであれば幸いである。 本作品で特筆すべきは、海軍中尉・武者滋の純心にして真っ直ぐな意思。そして60余年もの時を超えて再会した恋人、沖有美子がその後の人生で胸の奥底に秘めてきた悲痛なる想いである。

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2011/01/29

浅見光彦シリーズで文庫化未の新書版。 第二次大戦モノで時代背景や心情がミステリーというより軸になっているように感じた。 自分的には本の初めがやや硬い文章が続くため、内田先生のモノとしては読み進めにくかったように思う。

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2010/08/10

靖国神社の始まりや、その当時の靖国神社がどういうところであると考えられ、人々の支えとなっていたのか。また、現代での在り方について知ることもできたし、自分はどう思うのか、と考えさせられた。「A級、B・C級戦犯」については、教科書通りの知識しかなかったが、武者の言う通り、確かになぜ彼...

靖国神社の始まりや、その当時の靖国神社がどういうところであると考えられ、人々の支えとなっていたのか。また、現代での在り方について知ることもできたし、自分はどう思うのか、と考えさせられた。「A級、B・C級戦犯」については、教科書通りの知識しかなかったが、武者の言う通り、確かになぜ彼らが戦犯と言われて、原爆投下をした側は戦犯にならないのか。枯れ葉剤散布はイイのか?そして、言われてみれば、死刑で罪を償えと言われて、亡くなった彼らを、死んで尚、認めないのは少し可哀そうな気もした。しかし、戦争によって家族や大切な人、モノなどなくした事が無い私には計り知れない怒りがあるのだろうと思うと何も言えない。 武者の意見は真っ直ぐで、現代人には目から鱗な意見だったり、無くした気持ちだったりで、素敵だなぁと思う所があった。 ただ、最後の締めはちょっと残念だった。ああもあっさり婚約者と別れるのか、というあっけなさ。また有美子にも失礼ではないかと。ん~、しかし当時の若者の戦争に懸ける想いというのは、好きだなんだというものとは比にならなかったということだろうか・・・。女の立場としては残念な結末だった。

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