少女時代 の商品レビュー
青空文庫。ハチミやリカのグループでは、自分がどうやって美しく死ぬかという話をするのが常であった。そして「早く死にたい」という死への憧れをかたりあうのだ。 高校1年前後の少女たちの「死」への憧憬と死生観をテーマにした短編4編。やはり最初の『たしかに一度だけ咲いた』がインパクトもあ...
青空文庫。ハチミやリカのグループでは、自分がどうやって美しく死ぬかという話をするのが常であった。そして「早く死にたい」という死への憧れをかたりあうのだ。 高校1年前後の少女たちの「死」への憧憬と死生観をテーマにした短編4編。やはり最初の『たしかに一度だけ咲いた』がインパクトもあり、話としても斬新で、一読の価値がある。 2作目は、仲間を失ったグループの後日談。死への憧れを語りながら、生への執着へときりかわっていく。このあたりは描かれている季節にも関係するのかもしれない。やはり夏に死の話は似合わない。 3,4作目は、前2作とはまた別の話ではあるが、両方とも死を意識する女子高生たち。父親の突然の死。そして、一瞬前の自分が自分でない、連続しない生を意識し始めた高校生。 後半2作については、物語以上に作者の死生観であり存在や生とは何か?を登場人物に考えさせる、実験的な部分が強くなっているため、ストーリー自体の印象が薄く感じた。もう少しストーリーをくどく述べるくらいのほうが良かったのではないかと思われる。 これが青空文庫で無料で読めるってのはいいね。 前半が☆4、後半が☆2ってとこ。前半2作だけでも読んでほしい。
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死への憧憬(ただしそれは観念的なもの)/自己という存在との同一感の不確かさ/それが思春期といえばそうだけど/現実味のない少女たち、それは通俗的なリアリティの否定/『夏と少年の短篇』の少女版かと思ったら違った/個人的にはちょっと馴染めなかったな ----- 死への憧憬。ただしそ...
死への憧憬(ただしそれは観念的なもの)/自己という存在との同一感の不確かさ/それが思春期といえばそうだけど/現実味のない少女たち、それは通俗的なリアリティの否定/『夏と少年の短篇』の少女版かと思ったら違った/個人的にはちょっと馴染めなかったな ----- 死への憧憬。ただしそれは観念的なものであり肉体的なものではない。結果として肉体としての死が訪れてはいるが。そのあたりは「いなくなりたい」という感覚に近いのではないか。 初めのの三篇がまずあり、その後残り二篇が書き加えられて一冊の本にまとまったとのことで、そのあいだに主題がやや変化しているように感じられる。観念的な肉体的死から、自分という存在の否定(?)へと。 ここに出てくる少女たちには現実味、リアリティがない、と感じられるが、それは逆にいえば現代の通俗的なリアリティの否定ということなのだろう。 ●「いなくなりたい」の最後がいい。● 『夏と少年の短篇』の少女版かと思ったら違ってた。個人的にはちょっと馴染めなかったなあ。
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片岡義男にしてはめずらしい不思議な物語の数々。ですが、大人に対して少女の語る言葉は、やはり片岡さんの言いたいことなのです…。
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