すうがく博物誌(下) の商品レビュー
下巻です。この博物誌は,あいうえお順で書かれていて,下巻には,サ行からワ行までが出てくる。項目でいうと〈差〉からはじまって,さいごは〈割り算〉となっている。〈二進小数〉なんて,何度読んでもよく分からん。 〈森毅〉という項目もあって,「これって森さんが自分で書いたのかなあ」と思...
下巻です。この博物誌は,あいうえお順で書かれていて,下巻には,サ行からワ行までが出てくる。項目でいうと〈差〉からはじまって,さいごは〈割り算〉となっている。〈二進小数〉なんて,何度読んでもよく分からん。 〈森毅〉という項目もあって,「これって森さんが自分で書いたのかなあ」と思っていたら,あとがきに「なお,〈森毅〉の項は書いた覚えがまったくないのに,どこからともなく現れ,〈ものぐさ〉と〈モンスター〉の間に割りこんできた。」とあり,さらにその下には「森毅の項は野崎明弘による(編集部注)」とあった。おもしろいね。しかも,その〈森毅〉の項の安野さんによるイラストが,誰かわからんくらいかっこいい人になっている。他の項では,しっかり森さんとわかる線画があるのに…。 下巻は上巻よりも数学者の名前がたくさんでてきた様な気がする。数学科へでも行っていないと知らないような名前もあった。いろんな人が活躍していたんだなあ。で,若いときに天才とか言われたような人も,晩年は残念な人生だったりすることもわかった。人生,全部を見ないといけないね。 気に入った2項くらい,引用しておくか。 〈鶴亀算〉 鶴の足は細い。亀の足は太い。これを合計しても,なんの意味もない。このナンセンスさこそ,鶴亀算の神髄だ。 〈平均〉 aとbとの平均というとき,(a+b)÷2とすると,なにか談合で中をとったようだ。これが,a✕0.5+b✕0.5となると,半分ずつ出しあって民主的な気がする。しかし,これは同じことである。 しかし,aが7割,bが3割のときでも,a✕0.7+b✕0.3のように,重みの偏った平均が考えられるだけ,後者のほうが一般化しやすい。 そうそう,下巻にも上巻にもあるけれども,カバーの裏の推薦文(森毅,野崎明弘,安野光雅)もぜひ読んでいただきたい。3人の遊び心を感じるだろう。大人も遊んでいいんです。
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