鎌倉源氏三代記 の商品レビュー

永井晋【著】

2022/01/12

治承・寿永の乱を通して源氏の主流となっていく頼朝の時代、幕府権力が北条氏へと移っていく頼家以降の時代を、源氏一門や御家人達の動向を踏まえて描く内容。初期鎌倉幕府における源氏一門の盛衰が興味深かった。

2012/03/04

サブタイトルにあるとおり、
源氏将軍三代の事跡を教科書的に書いているのではなく、
源氏一門や坂東武士を中心とする鎌倉幕府御家人たちの盛衰を、
源氏将軍家との関わりの中で記述しています。

今でも、源平の戦いに代表される治承・寿永の内乱が、
平家打倒を目指した源頼朝と、
それに一致団結して加わった全国の反平氏の武士たち、
という図式で語られてしまうことがありますが、
実際は、平氏からも朝廷からも独立して自分たちの所領・家を守りたい各々の武士団の思惑と、
河内源氏嫡流を称す頼朝が他の源氏一族や武士たちを統合し自らの専制政権を目指したいという思惑が絡まり合った複雑なものでした。
それがうまく描かれていると思います。

多少の基礎知識が必要になってしまうかもしれませんが、
源平合戦の意外な一面が知れます。
源義経や木曾義仲などの活躍の裏にある、
平安貴族の政争にも負けないドロドロとした人間ドラマを垣間見ることができますよ（笑）

2010/08/17

平家物語史観を超えた一冊。

北条氏をかなり、謀略家一族と見ているような気もしなくもないが･･･

なぜ、頼朝が平家追討を行ったのか、なぜ義経と対立したのか、頼家の目指したものは何だったのか、丁寧に叙述がされている。