古書の森 逍遙 の商品レビュー
ブログも読んでいたのだけれど、思っていた以上に読みごたえあり。読み終わると古書展に行きたくなり、明治や大正時代の黒い本を探したくなります。
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黒岩比佐子『古書の森 逍遙 明治・大正・昭和の愛しき雑書たち』工作舎、読了。本書は明治を中心に著者が古書展で買い求めた雑誌や実用書の購入録とコメンタリー。明治のお嬢様から伝書鳩を使った戦後昭和の新聞社まで--。広汎な話題への注目は著者の執筆活動の舞台裏をかいま見せてくれる。 著者と220冊の古書との出会いと逍遙はそのまま、明治・大正・昭和の出版文化の歩み。思わず吹き出すへんちくりんなw話題もあれば、時代を反映する話題も多い。新層こそ最新(号)と錯覚する通俗的な書物観を痛快にうち破る。 昨今、ノンフィクションとはほど遠い創作をそう称する〝急ぎばたらき〟が多い昨今、本書で逍遙する筆者の軌跡は、ノンフィクションとは何かを考えさせられる。出来事から「今」を切り開く、故人となった筆者の生き方そのものだ。 黒岩比佐子『古書の森 逍遙』工作舎の出版社さんの紹介webより http://www.kousakusha.co.jp/DTL/kuroiwa.html 「たった一度の出逢いで、人生が変わることもあります。あなたの人生を変えるような素晴らしい本の出逢いがありますように」との筆者の直筆コメント(東大生協書籍部)。 黒岩比佐子さんの著作は、信頼する先輩から読んでおく方がいいよと示唆をうけて、『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』講談社、『日露戦争 勝利のあとの誤算』文春新書、につづき、『古書の森 逍遙』工作舎でようやく三冊目。もう少し早く出逢っておけばよかった。 先の言及通り、ものごととは新しくでるから「新しい」訳ではないし、時事的な課題に専念することで何かが明らかになってくるわけでもない。自分自身にとってリアリティのあるもの(そしてそれは自分の住む社会と密接に連携したカタチで)とは、外から与えられるのではなく自ら見出すものなのでしょう。
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本書の2010年5月のあとがきを読むと闘病されていると書かれていた。新聞の新刊案内で亡くなられたことを知る。
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