雨心中 の商品レビュー
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果てのない依存。 限度を知らない二人。 弟には、突き放してくれる味方が必要だった。 姉は、一緒に幸せになれそうな男性が沢山いたのに弟しか見えない。 彼女には、幸せな終わりかもしれない。 私は読後、何処に連れて行かれるのか怖くなった。 刹那に似てせつなくを読んだ時も思ったが、 いつか唯川恵で『どうしようもない二人がハッピーEDを迎えられる話』が『読みたい』と思う。
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唯川氏の小説は近頃職人芸の息に達したようだ。 以前読んだ『セシルのもくろみ』もそうだったが、この『雨心中』も同じく、読みやすく面白く、300ページを超える長編なのに、一日で一気に読める。しかしそこまでなのだ。韓国ドラマを見ているときのように、その間は夢中になるが、終ってしまうと、特に何も残らない。ただ、娯楽として消費されてしまうのだ。 もちろんそういった小説はあっていい。というか、たいがいの小説はそういった役割のものだ。なんでもかんでもが芥川賞受賞作品のように、読者の心になんらかの棘を一刺し残していく必要はない。 養護施設で育った女と男が、血のつながりはないが姉弟として寄り添って生きていく。姉はささやかな幸せを望むが、弟は道を踏み外していき、やがてふたりは破滅へ向かう。 といった救いようのない物語のはずなのに、この作品はどこか軽い。それが最大の瑕として、この作品を二流のものに仕上げている。 うまいのになあ…、唯川さんは。うますぎるのが仇なのかなあ…。
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救われない男と女の物語。『松子の一生』とダブりました。 そういえば松子も美容の免許があって、風俗の仕事をして、刑務所から大切な人が釈放されるのを待つっていうのも同じですね〜。 男を甘やかすところも一緒。違うのは松子が自ら不幸になるほうへ、歩んでいったのに対し、芳子の場合は本当に...
救われない男と女の物語。『松子の一生』とダブりました。 そういえば松子も美容の免許があって、風俗の仕事をして、刑務所から大切な人が釈放されるのを待つっていうのも同じですね〜。 男を甘やかすところも一緒。違うのは松子が自ら不幸になるほうへ、歩んでいったのに対し、芳子の場合は本当に不幸が向こうからやってくるって感じ。 それでも思うんですよね、やっぱり最初っから、そこまで周也を甘やかしてなかったら、違う人生になっていたんじゃないかって。 芳子に対して、ここまで言うのは酷かもしれないけど、やはり一言言いたい。「周也はぬいぐるみじゃないのよ」って。
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馬鹿な男と堕ちていく女がただただ愚かであり、それを美しいと思わせるような描写も気に入らなかった。女の転んだ泣いたを書かせると作者の右に出るものはいないと思うが、それしかないような気もする。
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この方の本はすごく読みやすい。 あたし的に最後は・・・って期待とはうらはらで 最後は結局・・・ ちょっと物足りなさを感じてしまいました。
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人を好きになるのに、好きの度合いは人それぞれかもしれない。 そして、その人を欲しいと思ったら、すがりついてしまう気持ちは捨てられない。 自分のものと呼べるものは何ひとつない、この体さえ神様のもの。 でも、あの人だけは私のもの…業の深さに息苦しさを覚えてしまうほどです。
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いつもの唯川恵さんとはちょっと違った作品。 どうしてそうなっちゃうんだろう、と幸せになろうとすると必ず 悪い方へ進んでしまう。 もっとうまく生きればいいのにとちょっとイライラしますが、姉の 気持ちもわかり、切ない作品です。
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ふっとした言葉がじんと染みてくる。 芳子と周也の『姉弟』という結ばれ方に、ぐっと詰まってしまう。 愛情という言葉を使っていいのか戸惑うくらい、本当にそれ以上で依存しあっているように感じた。
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悲しい話です。 お互いがお互いをダメにしているのに離れられず、 一緒に堕ちて行くしかない関係。 しかも恋人ではなく姉弟。 しかも本当の姉弟ではなく、施設で共に育ったと言うだけの間柄。 姉も弟も、幸せをつかみそうになったかと思うと 一転不幸せになってしまう。 とくに姉。いつもいつも...
悲しい話です。 お互いがお互いをダメにしているのに離れられず、 一緒に堕ちて行くしかない関係。 しかも恋人ではなく姉弟。 しかも本当の姉弟ではなく、施設で共に育ったと言うだけの間柄。 姉も弟も、幸せをつかみそうになったかと思うと 一転不幸せになってしまう。 とくに姉。いつもいつも弟のことばっか考えて弟を優先して、 もう!なんで次々こんな目に!弟さえいなければ、と 読んでいて歯痒くなる。 ただ、傍から観たら不幸な人生以外の何物でもないように見えるけど いつでも弟と運命を共にしたい姉にとっては、それもまた幸せなのかも。 幸不幸は他人には測れないってことなのかな。 ただ、弟にとってはやっぱり2人でいる事が不幸なんだろうなと思う。
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芳子と周也は、養護施設で姉弟のようにして育った。理容師として働いていた芳子の元に、ある日、同じく理容師をしていた周也が、仕事を辞め、転がり込んできた。一緒に暮らす二人だが・・・。
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