良寛 の商品レビュー
日本人は、年を重ねると良寛に惹かれていくのはなぜだろう? 立松和平が丁寧に物語る良寛は、普通の社会生活が送れないダメ人間だ。 仕事はできないので、僧となった。 村々を托鉢でめぐり、頂いた食物で暮らしている。 しかし、村の子供たちをはじめ村民にはとても好かれている。 子供と鞠つきが...
日本人は、年を重ねると良寛に惹かれていくのはなぜだろう? 立松和平が丁寧に物語る良寛は、普通の社会生活が送れないダメ人間だ。 仕事はできないので、僧となった。 村々を托鉢でめぐり、頂いた食物で暮らしている。 しかし、村の子供たちをはじめ村民にはとても好かれている。 子供と鞠つきが大好きで、何時間でも子供たちと遊ぶ。 古い友がくれば、酒を飲み、時々和歌もよむ。 字は、ぱっと見、下手に見えるのだが、よくみると、力の抜け具合がとても心地よい。村民も良寛の字を欲しがるのだが、「一筆願う」などを所望されると、へそを曲げて絶対書かないような子供みたいなおじさんでもある。 ああ、やっぱり、理想の生活だな、と思う。 でも実際に実行することはかなわない。 この小説はそんな小市民な我らが、ひと時、良寛になりきる体験を与えてくれる。 おすすめ。
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雲の様に水の様に、何者にもとらわれず、自由気儘に生きた良寛さんが好きで、彼の自伝を今までに何冊も読んできた。 子供たちとの鞠つきやかくれんぼ、 泥棒に寝ている布団を盗られた話など、 お馴染みの心温まるエピソードを繰り返し何度も読んでは、 (は~…。こんな人生送れたら、人は最高...
雲の様に水の様に、何者にもとらわれず、自由気儘に生きた良寛さんが好きで、彼の自伝を今までに何冊も読んできた。 子供たちとの鞠つきやかくれんぼ、 泥棒に寝ている布団を盗られた話など、 お馴染みの心温まるエピソードを繰り返し何度も読んでは、 (は~…。こんな人生送れたら、人は最高に幸せなのかも知れないなぁ~)などと、ため息を突いていたものだが、 和平さんが描く良寛を読んでいると、 もしかして、そんな憧れは 彼がもっとも嫌っていた 「衣のみ見て、人を判断する」見方でしか無かったのではないか?と、言う思いに囚われてしまった。 人は 同じ苦しみをもつ者に、 同じ悩みを抱える者に、 同じ信念を抱く者に、共感し、惹かれて行く。 良寛は乞食坊主と呼ばれる事に安心出来る境地に達するまで、 ずっと苦しんでいたのだ。 橘屋の長男として生まれながら、家を継ぐ事もせず、弟にすべてを委ね、 自らは出家し、ただひたすら我が道を歩み続ける事を決めた、その日からずっと…! 人は雲じゃないし、水でもない。 流れるままに生きたい、と願ってもそうはいかない事情を背負って、必死に生きているのだ。 良寛は、それら重荷を降ろしたわけではなく、降ろさざるを得なかった。 そうしなければならないほど、彼の求道心は高く、また、心中にはそれより他は無い人物であったからこそ、 彼の軌跡は清らかで、誰もが憧れの気持ちを、そして共感する気持ちをもてたのだろうと感じた。 より人間くさい良寛様を病床にて、必死に書き綴られたであろう、著者にありがとうの気持ちを込めて合掌致します。
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途中まで読んで図書館に返却。 一行一行がとても考えながら読むのでなかなかスピードが上がらなかった。 しかし、読み進める度に爽やかな気分になる。 布施:貪らない 愛語:愛の気持ちで言葉をかける 利行:他の人のためにする 同時:相手と自分は同じ なぜ多くの人がこの良寛に惹かれるの...
途中まで読んで図書館に返却。 一行一行がとても考えながら読むのでなかなかスピードが上がらなかった。 しかし、読み進める度に爽やかな気分になる。 布施:貪らない 愛語:愛の気持ちで言葉をかける 利行:他の人のためにする 同時:相手と自分は同じ なぜ多くの人がこの良寛に惹かれるのか。 本当はこうありたいと人が思う生き方を仏教を通して生きていたからだ。 自分が充実し、その姿を見せることによって他の人も気持ちが救われる。 これはアートや表現にも通じる。その存在意義を示す懐の深さがある言葉だ。 立松和平の遺作。
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