反貧困のソーシャルワーク実践 の商品レビュー
ほっとプラスの前身、ほっとポットについて 取り組み内容やホームレスとはなにか?といったことだけではなく、 ソーシャルワーカーとしての倫理観、日本の福祉のビジョンが書かれていて非常にためになった。 「福祉」は「特別な人」だけではなく「全ての人」にあるべきなのに、制度的にも意識的に...
ほっとプラスの前身、ほっとポットについて 取り組み内容やホームレスとはなにか?といったことだけではなく、 ソーシャルワーカーとしての倫理観、日本の福祉のビジョンが書かれていて非常にためになった。 「福祉」は「特別な人」だけではなく「全ての人」にあるべきなのに、制度的にも意識的にもなってないのは、現行の福祉の選別・申請主義からきているものなのだと気づかされた。日本の社会福祉制度と行政の仕組みについて、もっと学んでいきたい また、福祉とは行政だけが担うものだけではなく、民間、市民などあらゆるアクターのネットワーク自体が福祉だという。 当事者や代弁者である支援者が中心となって自分たちの「地域のネットワーク」体系を自らの手でつくりあげていくことをコミュニティワークやコミュニティオーガナイゼーションというが、そうした実践こそが民主的な社会だと私は思う。 みなの手で、みなの福祉を構築していきたい。
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我ながら単純極まりないと思うが、藤田氏のように正しい知識を携えた専門家の目線から制度の現状の問題点を根本的に見直し、できること・すべきと思えることを真摯に・愚直に実行していこうとするその行動力とひたむきさに、読んでいて何度となく胸が熱くなった。往々にして制度とは合理化の果てにかえ...
我ながら単純極まりないと思うが、藤田氏のように正しい知識を携えた専門家の目線から制度の現状の問題点を根本的に見直し、できること・すべきと思えることを真摯に・愚直に実行していこうとするその行動力とひたむきさに、読んでいて何度となく胸が熱くなった。往々にして制度とは合理化の果てにかえって機能不全に陥ることが多く、現場が歯嚙みするという事態はひとり福祉に限ったことではない。しかし、そこに敢えて根本からメスを入れていこうという気概は誰にも持てることではない。本書にもあるようにそうした試みには多く心ない言動が無神経に投げつけられる。不安をかき立てる現実から目をそらしていたいという人は少なくない。藤田氏らの改革はそうした現実と真正面から向き合い、光を当てていく。罵声を浴びようが不条理の壁に阻まれようが、自分達の行動が確実に少しでも現状を改善できる筈だという確信があるからだ。読後、全くの門外漢ながら、少しでも彼らの力になれないかというざわめきが収まらない。
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【読書その99】2006年10月に埼玉県でホームレスをはじめとした生活困窮者を支援するNPO法人ほっとポットを設立し、現在はNPO法人ほっとプラスの代表を務める藤田孝典氏の著書。そこで書かれるのは、藤田孝典氏を中心とした社会福祉士が、貧困、失業、病気、精神疾患といった生活課題を抱...
【読書その99】2006年10月に埼玉県でホームレスをはじめとした生活困窮者を支援するNPO法人ほっとポットを設立し、現在はNPO法人ほっとプラスの代表を務める藤田孝典氏の著書。そこで書かれるのは、藤田孝典氏を中心とした社会福祉士が、貧困、失業、病気、精神疾患といった生活課題を抱えた人々と向き合い、司法や行政と連携を図りながら、生活困窮者の相談、生活支援、自立支援などに奔走するソーシャルワークの実践。 この本を読んで改めて感じたのが、生活保護受給者への自立のあり方。生活保護受給者への自立支援というと、まず就労支援による経済的自立が挙げられる。しかし、最近思うのは、経済的自立ばかりが重要視され、同じくらい重要な社会的自立に目が向けられていないような気がする。 藤田氏は、貧困状態にある人々がおだやかな暮らしを取り戻し、地域で社会生活を営むため、自分たちが何ができるかを常に考え、その人を中心にして、社会的資源やサービスを寄せ集め、活用できるよう、ソーシャルワークを行っている。藤田氏のソーシャルワークは、生活保護のケースワーカーに求められているものを民間の立場で実践されているのではないかと思い、非常に感銘を受けた。 本書を読んで、行政とNPOの協働のあり方を考える非常によいヒントを得られたと思う。また、自分と同い年である藤田氏が、福祉の最前線の現場で活躍されていることを知って、非常に嬉しく、また頼もしく思った。
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ちょうど1年前に読了。同時期に貧困関係の本を複数冊読んでいて、勝手に期待を大きく膨らませすぎたせいで評価が厳しくなった
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『We』167号の巻頭インタビューは、NPO「ほっとポット」の事務局長・富松玲香さん「枠を超えた仕事をしたい─「ほっとポット」の試み」。その「ほっとポット」がやってきたことをまとめたのがこの本で、インタビューに行った同僚・中村さんが買ってきた。これもWeフォーラムの前後に読む。 ...
『We』167号の巻頭インタビューは、NPO「ほっとポット」の事務局長・富松玲香さん「枠を超えた仕事をしたい─「ほっとポット」の試み」。その「ほっとポット」がやってきたことをまとめたのがこの本で、インタビューに行った同僚・中村さんが買ってきた。これもWeフォーラムの前後に読む。 『奇跡の宅老所「井戸端げんき」物語』と並行して読んでいたが、あちらが「専門性がナンボのもんや」と言って、ごちゃまぜの場所をつくっているとしたら、ほっとポットは「社会福祉士という専門性」を掲げて、縦割りの福祉ではなく「生活まるごとの支援」をしていこうとしているのだった。 言ってることは、字面ではまったく逆を向いたことのようだが、やってることは、どっちもよく似てるというのが、おもろいなあと思った。人を仕分けてしまったりしない。暮らす場をバラバラにしない。嫌われもんも、好かれる人も、困ったちゃんも、気配りの人も、いろんな人がごちゃごちゃといる、そういうまるごとの場をつくり、人をまるごと見ていこうとする。 「あんな困った人はいらん」と周りが言っても、その人を排除しない。誰かを排除する場は、(いつか自分もつまみだされるかもしれん)という不安をうむ。そういう話が、「ブリコ」付近の本を読んでいるときに、よく出てきたなあと、懐かしいような気持ち。
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