少女外道 の商品レビュー
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戦争期の少女たちの短編集。 道を外れていく狂おしい偏愛。 背き歪んだ先にある不幸。 残された者の悲哀。 残酷な戦争下で交わされる、ひとときの夢のような美しい言葉たちに魅了されてしまう。 『標本箱』『有翼日輪』が好みだったが、特に『祝祭』のラストは息を呑む鮮やかさで、何度でも味わいたい。
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戦中戦後の、少年少女たちの日常。 日常なんだけれど、踏み外してしまいそうな、あやうさ。戦争という環境が、あちらとこちらの境目を曖昧にしている。あちらにいってしまうときの、背徳感、エクスタシィ。 それらは日常と繋がっている、と思えるとなんとなく安心する。あちら側を感じながら、いきていくこと。 少女外道、というタイトルがもう全て。
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少女外道 巻鶴トサカの一週間 隠り沼の 有翼日輪 標本箱 アンティゴネ 祝祭 読み始めには耽美的な文章と映りましたが、その実、とても読みやすく、手を止めることがありませんでした。 舞台は戦中戦後が主で、当時の特殊な状況が描かれています。ただ、泥臭いということはなく、むしろ逆でし...
少女外道 巻鶴トサカの一週間 隠り沼の 有翼日輪 標本箱 アンティゴネ 祝祭 読み始めには耽美的な文章と映りましたが、その実、とても読みやすく、手を止めることがありませんでした。 舞台は戦中戦後が主で、当時の特殊な状況が描かれています。ただ、泥臭いということはなく、むしろ逆でしょう。 上品かつフェティッシュな場面が所々にあり、どきりとさせられました。 皆川さんの著作は、エッセイ的な『辺境図書館』を別にして初めてですが、読み続けていくと思います。
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内容は例えるならば指先から痺れていくようなひたすら甘美な甘い毒・・・。 「外道」というのは「道を外れてしまった」という意味での外道なのかな、と・・・。 初めから周囲とは違う道を進んでいた少女と、ふとしたきっかけで道を踏み外してしまった少女。 表題作「少女外道」はラストの・・・孫の...
内容は例えるならば指先から痺れていくようなひたすら甘美な甘い毒・・・。 「外道」というのは「道を外れてしまった」という意味での外道なのかな、と・・・。 初めから周囲とは違う道を進んでいた少女と、ふとしたきっかけで道を踏み外してしまった少女。 表題作「少女外道」はラストの・・・孫の流血に目の色変えて蘇る少女時代の欲望・・・。いつまでもきっかけになった男性に執着する様がいいですね・・・。 「巻鶴トサカの一週間」は少女らしさを失わない浮き世離れした女流画家と彼女に惹かれる男・・・そのまま文字通り道を踏み外していく二人・・・。 「隠り沼の」は少女の正体が分かったときは(あぁー・・・)となりましたね。傷付けられて傷付くことを諦めて道を外れて行き着いた果ては・・・という。 「有翼日輪」は少年が友人の兄に崇拝と、それから破壊を求め、その外れた道に大切な物を置いたまま生き続ける・・・みたいな・・・。圭雄(たまお)くんが少年でありながら少女めいた気持ちで友人の兄を見ていたっていう倒錯的なアレな気もするけど、名前が少女とも取れるから心は女の子だったっていう暗喩なのかな?とも思ったが、どうなのかな・・・女性器のアレとかもあったし・・・どうなんですか皆川博子先生・・・。いや単純に青年になった圭雄くんに話しかけた女性がまた道を外れた少女だったってだけかも分からんが・・・うーん・・・。 「標本箱」はめっちゃ好みでしたね・・・心中という分かりやすい道の外れ方なのですが、どこか美しい・・・。失敗して一人生き残り気が狂ってしまったというのすらも美しく感じてしまう・・・。鉱石と骨と、惹かれ合った二人の会話がどこまでも甘やかで、この世のものとは思えない皆川博子ワールド。 「アンディゴネ」は皆川博子先生といえば女子校の鬱屈ネタ(というと陳腐に聞こえるが)ラストの江美子の、女の業のような道の外し方・・・こういうのも先生描かれるんだな・・・。 「祝祭」がどこか一番戦時中~戦後雰囲気強かったですね。ジュール・ルナールの『にんじん』読む少女とかロマンすぎる。 やっぱり傷口を重ね合う二人っていう構図は・・・耽美でたまらんなあ・・・皆川博子先生やっぱり分かってらっしゃる・・・。それから「傷付いて血を流す男」に言いようのない感情を燃やしてしまう少年少女・・・ああ・・・。人には言えない、道を外れた少女達の辿り着く果ての詰め込まれた一冊でした。
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そうして、ギイが足場を下りてきた。浅い木箱の中の壁土をバケツに掬い入れながら、圭雄に目を向けた。話しかけたり笑いかけたりしてこなかったので、圭雄はほっとした。崇拝する対象は、地上のものと対等に会話を交わしてはいけないのだ。 (P.137)
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短編ながらも濃厚。戦中戦後の時代の中、幻想と生死の狭間をさまよう少し普通じゃない少女たち。モノクロ、セピア色した唯美の世界に、紙一重の狂気感♪。
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皆川さんの短編、初めて読みました。 今まで読んだ長編とは違う、言葉の裏にぞくぞくっとさせられる耽美な美しさがあった。どれも歪んでいて、決して共感できるものではないのだが、見ちゃいけないものがすっと入り込んでくるような魅力があった。戦争前後の時代、簡単に壊れてしまうような儚い哀しさ...
皆川さんの短編、初めて読みました。 今まで読んだ長編とは違う、言葉の裏にぞくぞくっとさせられる耽美な美しさがあった。どれも歪んでいて、決して共感できるものではないのだが、見ちゃいけないものがすっと入り込んでくるような魅力があった。戦争前後の時代、簡単に壊れてしまうような儚い哀しさが漂っていた。 つい、これが長編になったら……などと想像してしまった。「隠り沼の」や「標本箱」など、もっと細かいところが知りたくなってしまう。だけど、この小さく儚いからこそ良いのかも。美しい表紙を閉じると、それぞれの欠片が、それこそ標本のようにおさまっている。
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「少女外道」皆川博子◆血と傷を偏愛する異様な感覚を押し殺そうとする少女を描く表題作など7編。どの作品もどこか怖くて歪んでいて感覚がおかしくなりそうなのですが、ただ逸脱しているだけでなく気品と浪漫がある。戦前〜戦後のセピア色の雰囲気も美しい。歳を重ねた著者だからこその魅力でしょうか
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短編集。 「少女外道」、「巻鶴トサカの一週間」のみ読んだ。 行間から背徳が匂い立つような、素敵な余白のある小説だった。 残りのものもいつか読みたい。 2014.03
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戦前から戦後を生きる女性の話。現代の物語とはちょっと違った、まるで違う世界のような話の集まりに、次は次はと釘付けになりました。淡淡とでも生き続ける女性達が魅力的です。素敵な短編集です
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