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党人 河野一郎 の商品レビュー

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2013/05/30

若い頃に、河野太郎の選挙を手伝ったという青年とたまたま知り合いになって、話をする機会があった。選挙中に地域を回ると河野一郎先生にお世話になったから、今回は当然応援するよというような声をかけられることが多かったと語っていたのが未だに印象に残っている。河野一郎の名刺を大事にとってあっ...

若い頃に、河野太郎の選挙を手伝ったという青年とたまたま知り合いになって、話をする機会があった。選挙中に地域を回ると河野一郎先生にお世話になったから、今回は当然応援するよというような声をかけられることが多かったと語っていたのが未だに印象に残っている。河野一郎の名刺を大事にとってあってわざわざ見せてくれる人もいたそうだ。その頃すでに河野一郎が亡くなって30年以上の時が経っていた。それにもかかわらず現役の河野洋平ではなく河野一郎の名が自然に出てくることの凄さ。 私は、政治家には、二つの死があると思う。一つは生物としての死、もう一つは忘却されることによる死。人の記憶から忘れ去られた時に政治家は完全に死ぬ。河野一郎は、死後、数十年という時空を越えて記憶され、未だ命脈を保っている稀有な政治家だ。 本書は、これまであまり記されることがなかった河野一郎の最後の十年を元記者が丹念に調べまとめたものである。河野一郎の記憶をなぞるかのように筆者は、様々な地域を訪ねていく。そこには未だに濃淡はあるものの、河野一郎の姿が残っている。それは、建築物や証言といった形をとり一様ではない。しかし、確かに一人の偉大な政治家の軌跡は未だ消えることなく存在している。 公文書の管理やオーラルヒストリーが整備され、インターネットにさまざまなデータが拡散する中で現代の政治家に関する記録は、かってより残るのかもしれない。しかし、国民の記憶に長く残る政治家は少なくなるのかもしれない。筆者の表現を借りるなら「政治家がスーパーマンだった」時代は、遠い昔に終を告げたのだから。

Posted byブクログ