おじゃみ の商品レビュー
文章で読む京都弁というのはあまり見ないので、新鮮です。 しっかしそのいけずさが怖くてもう京都行けないですね。 こういういじましい系には弱いんです。 割と、少女をとりまく危うさも良かったです。
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図書館より 京を舞台にした怪談系の作品を6編収録した短編集。 表題作の「おじゃみ」(関西でお手玉のこと)をはじめ、出てくる幽霊や妖怪たちにどこか可愛さや可笑しさ、哀しさを感じさせられます。特に「おじゃみ」のお手玉に憑りついた赤ちゃんの霊は、母親に甘えているようにも読めて、...
図書館より 京を舞台にした怪談系の作品を6編収録した短編集。 表題作の「おじゃみ」(関西でお手玉のこと)をはじめ、出てくる幽霊や妖怪たちにどこか可愛さや可笑しさ、哀しさを感じさせられます。特に「おじゃみ」のお手玉に憑りついた赤ちゃんの霊は、母親に甘えているようにも読めて、 また「前妻さん」の手だけの幽霊も後妻を差し置いて、お茶を汲んだり子どもをあやしたりと、情景を考えると結構ユーモラスです。 それに反して描かれる人間の怖さ…。「おじゃみ」の語り手の、自分の赤ちゃんの霊が憑りついたお手玉への残酷な仕打ち、など人間の行動の怖さもしっかりと描いているのですが、 それだけでなく、女性らしい細やかさで描かれる、欲や嫉妬など心理面の怖さもしっかりと描かれています。 しかしこの短編集の神髄は京都弁でしょう! 6編中3編は地の文も京都弁にする徹底ぶり。他の短編ももれなく京都弁の登場人物は出てきます。 自分は京都市民ですが、ここまでコテコテの京都弁は使いません(笑)。しかし著者の方が京都生まれ、京都育ちだけあり作中の京都弁には違和感は感じませんでした。 京都弁は品がよくてあたりが柔らかい、と京都人である自分で言うのも何ですがそう思います。テレビなんかでたまに見る舞子さんはその最たる例です。 でも、その品の良さ、当たりの柔らかさは正直不気味でもあります。京都弁の品のよさ、柔らかさ、独特の間、そうしたものは京都人の黒い心を表面上は分からなくしてしまう効果があるような気がするのです。 よく京都人は腹黒いとも言われますが、それも京都弁の一種の不気味さが理由ではないでしょうか。 そんな京都弁で語られる怪談だからこそ、物語の不気味さ、なにより京都人の黒さが独特の色で描かれます。 読み終えて、京都弁で怪談を書こうと思った著者の神狛さんに一本取られた、と思ってしまいました。 前評判を知らず図書館でなんとなく借りた作品ですが、予想以上の大当たりでした。たぶんこの本を一番楽しめるのは京都育ちか、在住の人だと思うのですが、 別の都道府県の人がこれを読んだら、どんな感想を持つのかちょっと気になります。 第4回『幽』怪談文学賞短編部門大賞「おじゃみ」
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第4回『幽』怪談文学賞・短編部門大賞受賞作を含む6篇。 京都を舞台に様々な女の生き様が描かれている。 作中の言葉もはんなりとした京都弁が使われていて、これがまた抜群に良い雰囲気を醸し出している。 京都はミステリアスで不思議な魅力に富んだ町ですが、こんな怪異が現実に起きててもおかしくなさそう。 表題作と「前妻さん」「虫籠窓」が良かったです。 特に表題作は”おじゃみ”におぞましさを感じていたものの、一途で健気な様が次第に可愛く思えたりしてしまって。 バラエティ豊かで楽しめました。 京女の怖さを垣間見たような心地です。
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女性的ホラーというか、私はちょっと苦手。 短編集で個人的には後ろの方の作品の方が新感覚で楽しめました。 女子高生の話は思春期ぽい考え方で懐かしく感じながら、読了しました。 タイトルにもなったおじゃみ等はあざとい考えが苦手ですが、迫力凄い。 燃え上がる描写は太宰の地獄変を思い出しま...
女性的ホラーというか、私はちょっと苦手。 短編集で個人的には後ろの方の作品の方が新感覚で楽しめました。 女子高生の話は思春期ぽい考え方で懐かしく感じながら、読了しました。 タイトルにもなったおじゃみ等はあざとい考えが苦手ですが、迫力凄い。 燃え上がる描写は太宰の地獄変を思い出しました。 文体・ストーリーに才能が溢れてますので、一読の価値あり。
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(推薦者コメント) じわっと怖いホラーストーリーが短編でいくつか入っている。夏じゃなくても読みたいです。
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怖いし、気持ち悪いのだけど、なんだか軽やかでさらりとした文書でした。京言葉がより気持ち悪さに拍車をかけてますね。 おじゃみ•前妻さん•虫籠窓は特に面白かったです。しかし、正体みたり・・・はベッドで寝られなくなりますね(。TwT)
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京都が舞台の怪談短編集。 怪談苦手なのに読んでしまった。京言葉がより雰囲気を盛り上げていた気がします。じゃみじゃみなどの独特の音?みたい表現もよかったような。
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京都を舞台にした怪談の短編集。 表題作「おじゃみ」は第四回「怪」怪談文学賞短編部門大賞受賞作。 全体の質感として、水や湿気を感じる。じっとりとしたまとわりつく、水分。 京都弁で語られる物語は、妙におっとりしていているのに、ぞっとする。 怖く、時にグロテスクであるのにどこかコミカル。不思議な読後感。 千年王城の、魑魅魍魎たちも怖いが、一番怖いのは、やっぱり人間なんだろう。
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現代を舞台にした、京おんなが主人公の短編6本入り。どの話も、得体の知れない化物とどこまでも残酷になれる人間が、気持ち悪さの相乗効果を発揮している。 水彩画の可愛らしい表紙に目を引かれましたが、よく見てみると、手足の生えたお手玉、橋の欄干(?)から伸びる手など、不気味さが勝ります。...
現代を舞台にした、京おんなが主人公の短編6本入り。どの話も、得体の知れない化物とどこまでも残酷になれる人間が、気持ち悪さの相乗効果を発揮している。 水彩画の可愛らしい表紙に目を引かれましたが、よく見てみると、手足の生えたお手玉、橋の欄干(?)から伸びる手など、不気味さが勝ります。そういえばこの本って怪談だよね、と我に返ったのでした。 おすすめは『虫籠窓』(むしこまど)。京都の旧家に、いかにもありそうな「もしも」が怖いですよ~。
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これはまた表題作がとてもよかった。 不気味で時に恐ろしく、それは怪異よりも人間味に対して 京ことばで綴られる6つの怪談たち。 個人的には、加えて「増殖」「虫籠窓」が好き
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