ドル漂流 の商品レビュー
漂流という言葉から為替の変遷と今後の予想が書かれていると連想するが、どちらかというと為替の歴史が丁寧にまとめられている本。ミスター円による為替予想はあまり書かれてはいない。個人的に面白かったのはデフレは構造問題であるということ。経済のグローバリゼーションに伴って、日本ではデフレ、...
漂流という言葉から為替の変遷と今後の予想が書かれていると連想するが、どちらかというと為替の歴史が丁寧にまとめられている本。ミスター円による為替予想はあまり書かれてはいない。個人的に面白かったのはデフレは構造問題であるということ。経済のグローバリゼーションに伴って、日本ではデフレ、新興国ではインフレが生じ物価水準が収斂するのは当然のことである。そんなところで金融緩和を行っても資産バブルが生まれるだけで実体経済は変わらない。だから白川総裁はインフレターゲットはこれまで設定しなかった。2013年、これからの日本経済が楽しみである。
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・貨幣的というよりは構造的な現在のデフレに対して金融緩和は意味がない。貨幣供給の増加は株式市場や不動産市場に流れて資産バブルを引き起こすだけであり、白川日銀総裁がインフレターゲットの設定を頑なに拒否するのはまことに適切である。断言している。 ・企業、家計を含めた債務が過去最高。経常収支の赤字も過去最高。世界経済を背負っていくだけの力はないアメリカ。金融政策と通貨は統一化されているのに財政がバラバラ。リーマンショックを引き金に南北格差が大きな問題となって顕在化してきたヨーロッパ。これにとって代わると目されているのが中、印。近年とみにその発展がクローズアップされてきているが、そもそも歴史を振り返れば、ほとんどの時代、世界の中心は中国、インド。欧米が覇権を握ったのは現代に至るわずか200年であり、中印の発展は寧ろ復権と言うのが適切。もとに戻ったというべき。日本は大きな外交の岐路に立たされている。 ・多くのヨーロッパの国は高福祉ゆえ高負担となているが、日本に比べれば格差は少なくそれぞれの人たちが堅実でそこそこ豊かな生活を送っている。満足度は決して日本に比べて低いということはない。 ・円高は日本経済の状態が少なくとも相対的には他の先進国よりもいいことの結果。強い円を背景にオーストラリア等へ資源投資を増加させ資源の確保に努めるべき。輸出産業といっても原料は輸入している。円高はデメリットばかりではない。 ・20世紀のキーワードは経済成長であり物質的豊かさであったが、21世紀のキーワードは環境、健康、安全。 目の覚めるような多くの学びがあった。
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ト、2010.11.04-05 2045年、中国がGDP世界一(ゴールドマン・サックス) ドルが安くなっても米国は困らない。むしろ、輸出が良くなるにでうれしい。
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ドルを保有するのをやめたくなる本。 遠い未来になるのか、近い未来になるのかわかりませんが、先進国が成熟し、新興国が発展しきったあとは為替で利益を上げることはできなくなるのかなと思いました。 詳細はこちら http://blog.livedoor.jp/oda1979/arch...
ドルを保有するのをやめたくなる本。 遠い未来になるのか、近い未来になるのかわかりませんが、先進国が成熟し、新興国が発展しきったあとは為替で利益を上げることはできなくなるのかなと思いました。 詳細はこちら http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/2876411.html
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良き本でした。内容は新たな知見ではなく、どちらかと言えば今までの内容の整理って感じです。 ドル360円のときから今に至るまでの為替、世界情勢の流れからEU形成にまつわる話、更には中国や東、東南アジアの話までまとめて整理してあり、金融と為替、通過や経済がまとめてある非常にいい本だ...
良き本でした。内容は新たな知見ではなく、どちらかと言えば今までの内容の整理って感じです。 ドル360円のときから今に至るまでの為替、世界情勢の流れからEU形成にまつわる話、更には中国や東、東南アジアの話までまとめて整理してあり、金融と為替、通過や経済がまとめてある非常にいい本だと思います。 まとめ話の他にも、インフレに関してIT化とグローバリゼーションによりマクロ経済学の前提が崩れた為、金融政策によって是正されるものではないとしてインフレ目標に否定的な見方、アメリカの緩やかな崩壊と当面の維持、中国、インドの30~40年後の台頭など面白いことも書かれています。 強いて言えば、人間の欲望に関して全く触れられず、為替と金融と歴史だけで全てを説明していたことが特徴的ではありました。
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先進国のデフレ、米国資本主義の終焉、中国インドの台頭、EUの苦悩など現在報道されているような問題を整理した上で、米ドルが基軸通貨だった世界が、いずれ長い年月を経て無極化に向かうだろうと考えておられる。多極化ではなくって、無極化という言葉が印象的だった。もっとも、多極化と無極化の違...
先進国のデフレ、米国資本主義の終焉、中国インドの台頭、EUの苦悩など現在報道されているような問題を整理した上で、米ドルが基軸通貨だった世界が、いずれ長い年月を経て無極化に向かうだろうと考えておられる。多極化ではなくって、無極化という言葉が印象的だった。もっとも、多極化と無極化の違いはそれほど重要ではなく、多極化と言うと、ポンドからドルに覇権が変わるときに地域ブロックによる通貨圏が出来ていたのが多極化で、グローバル経済の現在においてはそうした動きは起こらないだろうとする、微妙なニュアンスの違いだったりする。 榊原さんは経済学者ではないためか、いろいろな諸説から自分の考えや感覚に合ったものを選択し、それに自らの体験を交えて紹介していくいうアプローチ。大変読みやすい本です。 今世界で起きていることは、構造変化を象徴するもので、米国経済もドルも今後数十年かけてその役割を下げていく、と。その背景にあるのは、中国のGDPが2045年にもアメリカを抜くというゴールドマン・サックスの推計です。その推計の精度について議論するまでもなく、人口の差と成長率の差から言って、いずれ中国はアメリカを追い抜く可能性が高いことには異論がありません。 ではドルはどうなるのか?著者は、本のタイトルがイメージさせるような「ドルの漂流」までは意図していないようです。ポイントは、構造的に、ドルや米国経済が経済の牽引という役目を終え、経済や仕組みの成熟化に向かって変化していく、ことのようです。先進国が抱える成熟化の課題は、社会保障などの政策も絡んでくるゆえ、民間よりも政府がより関与する問題のように思えますね。 ボクのブログより:http://d.hatena.ne.jp/ninja_hattorikun/20100608
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