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in our time の商品レビュー

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2022/05/06

素晴らしい翻訳。高見浩訳もとてもいいのだが、柴田訳でヘミングウェイを読める喜びを噛み締める一冊。文章の良し悪しってわたしは直観でしか分からないのだけれど、ヘミングウェイの文章はかけ値なしに美しいと感じる。削ぎ落とされたシンプルな言葉の影に潜む緊張感にぐっと心を掴まれる。こんなに文...

素晴らしい翻訳。高見浩訳もとてもいいのだが、柴田訳でヘミングウェイを読める喜びを噛み締める一冊。文章の良し悪しってわたしは直観でしか分からないのだけれど、ヘミングウェイの文章はかけ値なしに美しいと感じる。削ぎ落とされたシンプルな言葉の影に潜む緊張感にぐっと心を掴まれる。こんなに文章自体が素晴らしいと思えることはなかなかないし、文章を読むことの大いなる喜びを感じることができる。以下解説から。 「むしろ、たしかに暴力的で緊張をはらんだ瞬間でもありながら、世界の無意味さが露呈するような、どこか滑稽な、茶番めいた瞬間でもある。大仰な言い方が許されるなら、作家の緊迫した文章のみが、そうした世界の崩壊をかろうじて食い止めているようにさえ感じられる。」

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2016/10/08

短編?連作短編? 同名の小説(スペルは大文字あり)の、各章の冒頭に描かれた文章を抜き出したものらしいです。 戦争とか、闘牛とか。 難しい。評価不能。

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2011/12/05

わたしの理解じゃ追いつききれてない。文学史的背景と考え合わせればより重要性がわかるのかもしれない。 でも、それよりも、この淡々としてる感じ。世界の無意味さをひたすら突きつけられる。無味乾燥とした、不条理さ。一貫性の無さ。悲劇は滑稽ですらある。何もかもが無意味であるということ。この...

わたしの理解じゃ追いつききれてない。文学史的背景と考え合わせればより重要性がわかるのかもしれない。 でも、それよりも、この淡々としてる感じ。世界の無意味さをひたすら突きつけられる。無味乾燥とした、不条理さ。一貫性の無さ。悲劇は滑稽ですらある。何もかもが無意味であるということ。この鋭敏な文章が物語ることは、その空しさを語りきることですこしだけ救おうとしてるのかなあ、どうなのかなあ、希望を持ってたいだけかなあ。すくわれたい。

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2011/07/22

アーネスト・ヘミングウェイが1924年に出版した短編の翻訳。 ほとんどの章が見開き1ページで1章進むためサクサクと読みやすい。 戦争だったり闘牛の話だったり場面がばらばらにやってくる。 その構成が,タイトでスマートな印象を与えている。 幾つかの種類に別れていた写真をシャッフル...

アーネスト・ヘミングウェイが1924年に出版した短編の翻訳。 ほとんどの章が見開き1ページで1章進むためサクサクと読みやすい。 戦争だったり闘牛の話だったり場面がばらばらにやってくる。 その構成が,タイトでスマートな印象を与えている。 幾つかの種類に別れていた写真をシャッフルして1枚ずつ観察していくように読んだ。 有名なのは1925年に出された"In Our Time"のほうで, こちらはその前年にほんのすこしだけの部数で出版された, 実験作的なものだという。 それを読んでふと,フィッツジェラルドのThe Great Gatsbyを思い出した。

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2011/03/05

この作品はもっさい男たちの物語であって、戦争とか闘牛とか、怒号飛び交う荒々しさがその場にはあるはずなんだけど、そういったものとは真逆の静けさを感じてしまった。それは雨降る夜の静けさと重なる。豪雨とかでない、ぴちょんぴちょんと屋根から屋根へ不定期なのだけど確実に落ちる、一滴をまざま...

この作品はもっさい男たちの物語であって、戦争とか闘牛とか、怒号飛び交う荒々しさがその場にはあるはずなんだけど、そういったものとは真逆の静けさを感じてしまった。それは雨降る夜の静けさと重なる。豪雨とかでない、ぴちょんぴちょんと屋根から屋根へ不定期なのだけど確実に落ちる、一滴をまざまざと感じさせる雨。そこに浮かぶ哀愁がなんというか、やっぱりもっさい。

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2010/06/05

超短編の各章に描かれる出会い。兵士と兵士であったり、男と女であったり、人と牛であったり。人生とは、こういう出会いの積み重ねなのだと、ヘミングウェイが教えてくれる。塀を登った兵士が待ち構えていた敵の兵士に撃たれてしまうという、一瞬で終わってしまう出会いもあるが、物語が終わっても、読...

超短編の各章に描かれる出会い。兵士と兵士であったり、男と女であったり、人と牛であったり。人生とは、こういう出会いの積み重ねなのだと、ヘミングウェイが教えてくれる。塀を登った兵士が待ち構えていた敵の兵士に撃たれてしまうという、一瞬で終わってしまう出会いもあるが、物語が終わっても、読後の余韻があとをひく。 これを読んでから、『In Our Time』1925年版を読むと、超短編と短編のエピソードが交互に織りなす余韻が重なり、こころに響いてきた。

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