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桃色団地の日情 の商品レビュー

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団地の住人みんなが“家族”の淫猥ストーリー

全9編の短編集だが、このうち7編は『桃色団地』シリーズと称すべき連載モノ(2009年からちょうど1年かけて描かれたようである)。これに2編の短編が加わる体裁である。 大学生らしき青年が上階の人妻と関係するところから始まるが、ここにちょこっと出てきた人物が次話で主人公やヒロイ...

全9編の短編集だが、このうち7編は『桃色団地』シリーズと称すべき連載モノ(2009年からちょうど1年かけて描かれたようである)。これに2編の短編が加わる体裁である。 大学生らしき青年が上階の人妻と関係するところから始まるが、ここにちょこっと出てきた人物が次話で主人公やヒロインとなって繋がっていく形式である。『そして恋をする。』(著:九部玖凛、芳文社コミックス)でも見られた手法だが、こうした「連動型連作短編」と言うべき繋がりがダイナミックに描かれている。最初はほんのすれ違っただけの人物、モブキャラとして完全に見落とす人物が次にメインを張っていたりするので思わず前話を読み返してしまうこともある。最終的には出てきた住人達がみんなどこかで繋がっているのだが、物語としては第6話で終わっているので最終話には後付け感がある。淫らに歪んだ人間模様を浮き彫りにしており、団地というやや閉鎖的な舞台に淫蕩な雰囲気がマッチしている。多数の男女が出てくる関係で複数人プレイもあるのだが、男2対女1の3Pがあるのは漫画としては意外な気がした(AVではキホンだが)。脚が長過ぎるようにも思うが、スリムな美女が悩ましげに乱れる痴態が存分に表現されており、はらざき作品ではお約束の汁々描写もしっかりあってヒロイン達はヌトヌトである。 ただし、これは他の2編の短編にも言えることであり、もしかしたらはらざき作品の決定的な弱点かもしれないのだが、男女の交わりに愛が感じられないために背徳感が希薄に思えてしまうところがある。青年と交わる人妻にしても肉欲に溺れるのみであり、夫への愛情が薄れているでも青年に懸想しているでもない。他のヒロイン達も同様である。せっかくの上質で秀逸な淫猥描写なのに何かが足りない気がして実に勿体無いのである。

DSK