魔風恋風(前篇) の商品レビュー
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小杉天外の長編小説。1903年(明治36年)2月25日~9月16日まで『読売新聞』で連載。大変な人気を博した。 戦後岩波文庫に入り、いったん絶版となったが、本田和子氏が『女学生の系譜』(1993年)で論じてより、明治の女学生を論じる際の定番テクストとなった。 当時の男女学生の風俗が描かれた悲恋物語の前篇。 才色兼備の女学生、萩原初野。自転車で転んで骨折するシーンは、時代は違えど、あの名作『はいからさんが通る』の花村紅緒を想起した。 どんな困難があっても他人を頼る事はせず、己の力だけで生きて行くのだ! と、勝気で確りした、堅い気質の女性像が鮮烈だ。 そんな容姿・気質が禍して、初野に様々な困難や危機が次から次へと訪れる。巻き返しを図るべく、一大決心をする所で前篇は終わる。 物語がスピードを増し、読む手に力が入った。 当時の大衆も、次の日の連載を楽しみに待って夜を越したのだろう。 立て続けにやって来る厄災に、初野が可哀想でもあるが、彼女に限らず、明治の女性の考え方や生き方も、文章から鮮やかに浮かび上がる筆致には、面白味がある。 カテゴリーとしては通俗小説なので、当時の世相を面白く、ハラハラドキドキしながら知る事が出来る。 さて、後篇は如何なる展開で結末まで導いてくれるのか…。
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明治30年に読売新聞に連載。新聞の再販を促したほどに人気を博した。 帝國女子学院に通う萩原初野は、才色兼備の麗しい女学生である。ところが、卒業試験を間近に控え、卒業後の立身出世を夢見て勉強に勤しもうとする初野に、次々と問題が降りかかる。自身の入院、妹の家出、腹違いの兄が戸主となっ...
明治30年に読売新聞に連載。新聞の再販を促したほどに人気を博した。 帝國女子学院に通う萩原初野は、才色兼備の麗しい女学生である。ところが、卒業試験を間近に控え、卒業後の立身出世を夢見て勉強に勤しもうとする初野に、次々と問題が降りかかる。自身の入院、妹の家出、腹違いの兄が戸主となっている実家との絶縁、許婚のある大学生東吾との関係…。やがて初野は金銭に窮し、脚気をも患う。 自転車に乗ってさっそうと登場したヒロインなのに、これでもか、これでもかと、コテンパに痛めつけられていく。勉強でもお金でも恋でも、何か一つくらい成就させてやったらどうかね?と思うのだが。 さながら”有名人の転落人生”なんていうテレビ番組を見ているようだ。
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会話で話が進んでいく。 100年以上前の作品なのに、すらすら読める!! 明治30年代に急激に増えた女学生をヒロインとして、その「堕落」を描く。時代的な限界はあるものの、昼ドラにできそうな話の筋でおもしろい♪
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