悪魔とベン・フランクリン の商品レビュー
ベンジャミン・フランクリンも相田みつを「日めくり」みたいなことをしていて、若いころ《貧しきリチャードの暦 Poor Richard's Almanack》という偽名を使った説教カレンダーで大儲けしております。その若きベンが連続殺人事件に巻き込まれ、悪魔を仲間にしたという...
ベンジャミン・フランクリンも相田みつを「日めくり」みたいなことをしていて、若いころ《貧しきリチャードの暦 Poor Richard's Almanack》という偽名を使った説教カレンダーで大儲けしております。その若きベンが連続殺人事件に巻き込まれ、悪魔を仲間にしたというかどでリンチにされかかる。彼はその嫌疑を晴らし、真犯人を発見できるのか。 なんといっても植民地時代のフィラデルフィアの風景や人間関係、経済構造に対する描写がすばらしい。ベンにとってフィラデルフィアを離れることは人生が終わるということでもある。その意味では植民地のゾーン・ポリティコーンを描いているともいえる。また、自発的結社としての政党の発生、相互扶助的教育機関としての図書館の発生も描かれる。さらにはメディアと大衆の関係、政治における聖と俗、政治権力と経済権力、暴力の機能など、アメリカ政治の教科書のようでもありました。 その後のベンの行動を予感させる記述も多いので、できれば『フランクリン自伝』(岩波文庫)あたりを先に読んでおくと吉かも。 あ、ミステリとしては三つくらいの禁じ手に目をつぶれば、そこそこ面白いです。
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