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小島ゆかり歌集 さくら の商品レビュー

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2022/10/15

著者が54歳の時の第十歌集。父が認知症となり、悲しみつつ介護する歌が心に刺さる。「老年の日数かぞふるひそけさに一円たまる父の空き壜」「金箔のきんもくせいが咲きました。父が壊れてゆく秋の日に」「ながらへて病むほかはなきかなしびのあきあかね飛ぶちちははが飛ぶ」「なけなしの命を使ひ立た...

著者が54歳の時の第十歌集。父が認知症となり、悲しみつつ介護する歌が心に刺さる。「老年の日数かぞふるひそけさに一円たまる父の空き壜」「金箔のきんもくせいが咲きました。父が壊れてゆく秋の日に」「ながらへて病むほかはなきかなしびのあきあかね飛ぶちちははが飛ぶ」「なけなしの命を使ひ立たんとし歩かんとする父よ さざんくわ」「認知症の父は真冬のチューリップ 片手を上げてぱかつと笑ふ」「『お世話駆けました。施設へ行きます。』と父言へり冬のある晴れた日に」「清潔な介護ホームのガラス窓 置き去りにした父が手をふる」「車椅子押すとき父の顔見えず見えぬまま行くさくらの道を」「おもふさま惚けたまへよ花さけど花ちれど父のさくらはわたし」「このうへもなく愛されし罰として見届けん父の惚けきるまで」

Posted byブクログ