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保守主義とは何か の商品レビュー

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2011/12/19

第三章。ピールとディズレーリを対比させた、英国保守政治の源流をさぐる論考。叙述はなめらかで読みやすく、この章を担当している戸澤健次の好みも明らか。ピールにはあまく、ディズレーリへはきびしい。 本書全体としては、それぞれが保守をキーワードに好きなことを書いているという印象。かなり...

第三章。ピールとディズレーリを対比させた、英国保守政治の源流をさぐる論考。叙述はなめらかで読みやすく、この章を担当している戸澤健次の好みも明らか。ピールにはあまく、ディズレーリへはきびしい。 本書全体としては、それぞれが保守をキーワードに好きなことを書いているという印象。かなり広義に展開されており、逸脱しているものもあるのでは…。 以下、鳥谷部春汀『明治人物月旦』を引用。参考までに。 英国の名宰相ロバート・ピールが曾て保護政策を棄てゝ穀物輸入税廃止論に同意するや、保守党は彼れを罵つて、変節の政治家なりといひ、一般の批評家は亦彼れの行動を称して矛盾といひたりき。然れども彼れは此の変節に由りて、反つて国家国民の福利を増進したれば、則ちたとひ党首としては一時の物議を免がれざりしも、政治家としては確かに偉大の成功を奏したりといふべし。 仏国のギゾー(有名なる文明史の著者)彼れを論じて曰く、ロバート・ピールは、単純なる理論家にあらず、又た原理原則に拘泥する哲学者にもあらず、彼れは事実を較量するの実際家にして、其の終局の目的は成功に在り。然れども彼れは主義の奴隷たらざると共に、必らずしも主義を軽蔑するものにあらず、彼れは政治的哲学を全能なりとも、若くは無益なりとも信ぜざるがゆゑに、敢て之れを崇拝することなしと雖も、而も之れを尊重せりと。是れ実にピールの人物を正解したる言なり。(青空文庫で読めます)

Posted byブクログ