最後の七月 の商品レビュー

長薗安浩【作】

2013/08/27

久しぶりに気に入った少年小説。

４年の僕と体は大きいが気のやさしいカズと脳性マヒで左半身が不自由な松浦の三人の友情の物語。
今まで松浦の世話をやいてきた僕とカズが一度に転校することになって一人残されることになった松浦。
ふてぶてしくて悪態をつく松浦が、なかなか好きだ。
僕とカズは松浦への最初で最後の誕生日プレゼントを考える。
ところが松浦も僕らに「あの野郎」というような餞別を用意していたんだな。
男子の友情は気持ちいいなぁ。
長崎弁かな、方言がいい味だしている。
小学校高学年向き。

2010/08/11

「あたらしい図鑑」が大好き。
長薗さんの新刊がでてるの、気がつかなかった〜

舞台は作者の故郷、長崎。

町の大きな工場が閉鎖され、
それぞれ神奈川、愛知に引っ越すことになった
幼稚園からの友だちのカズちゃんとヤッちゃん、４年生。

そして、もうひとりの主人公は、
地元のお医者さんの息子で、脳性麻痺で体の不自由な松浦で、
ふたりは１年生のときから、松浦を手伝って一緒に登下校しています。

この松浦が、口が悪くて、決して「ありがとう」もいわない。
でも、仲間。ツレ。

転校していくふたり、一人残される松浦、
それぞれが、不安をもちながら、克服しようと道をさがす。

少年と夏の物語に、弱いのです。

まだまだ子どもだけど、ただただ無邪気だった時代は終わり、
夏はいつかおわりになること、
今が思い出になること、
忘れてしまうかもしれないことすらも、気づいている。

自分の努力を支えに、将来に向かっていくしかないことにも、
気がつきはじめている。

ティーンエイジャーって言葉の意味を知らなくても、
おとなになっていく日々を体験している、少年たちのひと夏。

2010/07/14

九州を舞台とした、「ティーンエイジャー」目前（？）の少年3人の、
夏のできごと。
体が不自由なのに偉そうな少年と、彼を残し他県へ転校する
2人の少年は、毎日ずっと一緒に登校してきていた。
仲が良いというのとは違う、その年代特有の絆が押し付け
がましくなく表現されている。
映画『バーバー吉野』をどことなく思い出させる話だった。