城山三郎伝記文学選 2 の商品レビュー
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『落日燃ゆ』:太平洋戦争中に外相と総理大臣を歴任し、東京裁判で唯一文官として死刑になった広田弘毅の伝記小説。終始戦争拡大に反対であったにもかかわらず、統帥権の独立を縦に暴走する関東軍を抑えることができず、その責任から死刑となる広田を同情的に描く。しかしwikiによると関東軍に対する押しの弱さを批判する研究者も存在するようである。まーでも軍人と同列に広田を語って死刑にするのはうーん・・・というか、無条件降伏でない日本の政治家を裁くのは戦勝国の政治的意思が介入しまくる政治裁判ですよねー。この戦後処理に関する興味と軍部の暴走を止められなかった組織論的な問題に関する興味を持てたことがこの本を読んで得られたことかな、と。 『官僚たちの夏』:高度成長期頃?にミスター通産省と呼ばれた男の伝記小説。日本企業の競争力の強化のために奔走しながらも媚びない性格のために、肝いりの法案を成立させることができず、また事務次官まで上り詰めたものの部下を無際限に働かせることによって伸ばそうとするポリシーが災いし、有能な部下を失ってしまう。官僚の仕事も意外と面白そうだなー、公務員になることも検討すればよかったと思う半面で、政治家と関わるのは御免だとも思った。
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