自己と他者の統治 の商品レビュー
ミシェル・フーコーの死の前年1983年のコレージュ・ド・フランスでの講義。 ギリシア時代のテクストをベースにパレーシアなる概念を緻密に徹底的に読解していく。扱われるテキストは、比較的有名なプラトンの著作が多いので、なんとなく分かったような気がする。 それにしても、フーコーのスゴ...
ミシェル・フーコーの死の前年1983年のコレージュ・ド・フランスでの講義。 ギリシア時代のテクストをベースにパレーシアなる概念を緻密に徹底的に読解していく。扱われるテキストは、比較的有名なプラトンの著作が多いので、なんとなく分かったような気がする。 それにしても、フーコーのスゴさ、博学さはなみじゃないな。76年の著作「性の歴史:知への意思」以降、著作としては84年の「性の歴史:快楽の活用」「性の歴史:自己への配慮」しかなく、フーコーもボケちゃったんじゃないの?的な感じもしていたのですが、この間もフーコーの思考は、どんどん前人未到の領域に進んでいたんだ。その思考のごく一部が「性の歴史」の2冊になっているのだが、そこに回収できないものが、何冊分も講義として残されているわけである。 そして、コレージュ・ド・フランスの講義録もまだまだ出版されていないものが残っているわけだし、さらに、出版寸前のところまで書かれたものの、公開されていない著作やら、なんやらがフーコーの遺志によって箱詰めになって封印されているらしい。 フーコーの死後30年経とうとしているのに、私たちは、その全貌に触れることができない状態にあるわけである。 と、本の内容と関係ないことばかりかいた。 高い本だけど、1983年のフランスにタイムトラベルして、10日間の講義を同時通訳つきで聴くという幸福に恵まれたと思えば、全然、安いとも言える。 じつは、この本、3年前に翻訳がだされて、即買いしたけど、長らく積読になっていた。が、ここ数ヶ月で、1週間ごとに、1週間分の講義を読むという感じで、読み進めて、ようやく読了。 つぎは、いよいよフーコー死の直前1984年の講義「真理の勇気」が待っている。
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