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ふたりのママ の商品レビュー

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嫉妬に駆られてタガを外す義母

フランス書院文庫で執筆する作者が、何でも自ら応募という形で実現した作品とのこと。タイトルこそ『ふたりのママ』だが、ヒロインは義母と実母ではなく、義母とその妹(義理の叔母)である。誘惑系の基本と言える、清楚で貞淑な義母に対して積極的で奔放な叔母という構図だが、双方とも主人公を当初よ...

フランス書院文庫で執筆する作者が、何でも自ら応募という形で実現した作品とのこと。タイトルこそ『ふたりのママ』だが、ヒロインは義母と実母ではなく、義母とその妹(義理の叔母)である。誘惑系の基本と言える、清楚で貞淑な義母に対して積極的で奔放な叔母という構図だが、双方とも主人公を当初より憎からず想っていることもあって、許されざる関係に思い悩むような心情は希薄。むしろ唐突な感じさえ受ける始まり方である。さらには、この義母と叔母で主人公を奪い合うような描写もあるのだが、叔母のスタンスによってそのまま最後まで進む訳でもない。歪んではいるが自分の気持ちに正直な叔母は、同時に姉(義母)の想いも汲み取って、自らの領分をわきまえてもいるのである。ただし、相応に“つまみ喰い”はするし姉を挑発もする。姉の想いを解放するためとはいえ、結構がっつり挑発するのだが、その手法がかなり古典的でもあったので、ここは知恵を絞って捻りを効かせてほしかったところかな。対する義母も、妹の挑発を受けてどんどん開き直ってくる。「お義母さん、そんなこと言っていいの?」というくらい、明け透けなセリフと態度で嫉妬心を露わにするのが可愛らしくもあるが、夫への気持ちが翳っていた義母にとっては、これまた歪んではいるが良い機会になったようである。ちなみに、叔母も夫のいる身である。全体を通せば芳川作品らしさがあって、「黒本」愛読者でも抵抗無く読めるクオリティとは思うが、どこかで読んだような既視感のある展開と、シンプルでスムーズな進行に背徳感があまり得られないもどかしさがある。挿絵の画風も好みが分かれるところだろう。

DSK