ブライズ先生、ありがとう の商品レビュー

上田邦義【著】

2023/07/21

欧米圏に日本の俳句を紹介した人物として知られる英文学者Ｒ・Ｈ・ブライズは、都内の多くの大学で英文学を講じ、皇太子(当時。現・上皇)の英語教師も20余年間、務めたという。
本書は、ブライズの客観的な評伝というよりは、ブライズの教え子である著者が、ブライズの思想とそれを体現した生き方を紹介し、師への思いを語ったものである。著者によれば、ブライズが教えたのは、単なる英語英文学にとどまらぬ、平和を愛する生き方そのものであるという。「ブライズ先生の……愛と平和への願いを、どうか無駄にしないでほしい」と、著者は熱く語る。

ブライズの精神的弟子の一人をもって任じる著者は、大学院での講義においても、しばしば「ブライズ先生」に言及していた（私は、日本大学通信制大学院修士課程で、著者の教えを受けた)。
著者が国際融合文化学会（https://ishcc.stars.ne.jp/）を主宰したのも、ブライズの思いを受け継げばこそであろう。
さらに著者は、創作能『不来子先生−たたかわざる者R・H・ブライスとH・ソロー』（https://m.youtube.com/watch?v=5pFSFDoxWxI&t=70s&pp=ygUP5LiN5p2l5a2Q5YWI55Sf）も創出している。