村上春樹の秘密 の商品レビュー
作家の案内本を読んだのは初めてかもしれない。 村上春樹ファンでもそうでない人もフラットに読めるように言葉を丁寧に選んでいる気がした。 第六章が個人的には興味深いと感じた。 いくつか特徴のある作風だが、性描写はその中でも強い印象を残すものである。 ただその描写を「エッチだ!」だけで...
作家の案内本を読んだのは初めてかもしれない。 村上春樹ファンでもそうでない人もフラットに読めるように言葉を丁寧に選んでいる気がした。 第六章が個人的には興味深いと感じた。 いくつか特徴のある作風だが、性描写はその中でも強い印象を残すものである。 ただその描写を「エッチだ!」だけで済まさせない面白い解釈がされているので一読すべき。 (ポピュラーな解釈なのかな?)
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あとがきを見ると、「村上春樹の案内書はけっこう多いのだが、どれを見ても、作品を中心に論じたものばかりで、作家についてくわしく書いてあるものがない。そこで、作家と作品の、両方がわかるような案内書を作ってみようと思った。」と書いてある。いくつかの作品を詳しく分析、解説しているような...
あとがきを見ると、「村上春樹の案内書はけっこう多いのだが、どれを見ても、作品を中心に論じたものばかりで、作家についてくわしく書いてあるものがない。そこで、作家と作品の、両方がわかるような案内書を作ってみようと思った。」と書いてある。いくつかの作品を詳しく分析、解説しているような本を期待して買った人は、少しばかりあてが外れたかも知れない。 しかし、だからと言って、この本が面白くないということでは決してない。村上春樹氏の作品が好きな方であれば、早い時期に一度は目を通しておいた方がよい案内書であることは間違いない。ぜひご一読をお薦めしたい。 例えば、p.200では、村上氏の作品によく出てくる「あちら側」が、氏の様々な作品でどのように扱われているか、一覧になっている。こうした共通点を整理することで、それぞれの作品の解釈にも繋がるだろうし、村上氏の作品に対する考え方、思想のようなものが見えてくるかも知れない。 また、おとぎ話との比較も面白い。おとぎ話はどちらかと言えば子ども向けだが、村上氏の作品は当然大人向けで、そこに共通するものがあるという指摘は、言われてみればなるほどとなる。 それにしても、これほどの人気作家で多くの人に読まれているにもかかわらず、その評価や読み取りが人それぞればらばらな作家も珍しいのではないか。何でも理屈で解釈すれば済むという話ではないが、もう少し各作品を分析して、その解釈を一般の読者にも教えていただきたい。どなたか、よろしくお願いします。
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村上春樹作品の批評に留まらず、彼の生い立ちと作品をリンクさせてうまく批評している。文章も平易で読みやすかった。
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村上春樹の小説は事実をそのまま描くのではなく、何か別のものに置き換える、つまり寓話に変えてしまう。 人生とは孤独に向かう道筋。人は年をとればとるほど、どんどん孤独になっていく。みんなそうだ。ある意味では僕らの人生というのは孤独になれるための1つの連続した過程にすぎない。 自分探し...
村上春樹の小説は事実をそのまま描くのではなく、何か別のものに置き換える、つまり寓話に変えてしまう。 人生とは孤独に向かう道筋。人は年をとればとるほど、どんどん孤独になっていく。みんなそうだ。ある意味では僕らの人生というのは孤独になれるための1つの連続した過程にすぎない。 自分探しのテーマの根底には孤独と孤立がある。
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『風の歌を聴け』から『1Q84』までを通して、村上作品を読み解くカギを与えてくれている。様々なテーマ、側面からいくつもの作品を通して解説がされているため、時系列的なもの以外にも体系的に村上春樹の小説の世界を理解するのに役立つ。ただ、村上のインタビューなど事実をもとにしているとはい...
『風の歌を聴け』から『1Q84』までを通して、村上作品を読み解くカギを与えてくれている。様々なテーマ、側面からいくつもの作品を通して解説がされているため、時系列的なもの以外にも体系的に村上春樹の小説の世界を理解するのに役立つ。ただ、村上のインタビューなど事実をもとにしているとはいえ、筆者の予想の部分が多く盛り込まれているように感じられ、強引な論の展開もあったように思える。村上春樹の作品の流れや全体像を軽く知ろうとするのには適している本だと思う。
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村上春樹という作家は素顔を晒さない作家である。例えばTV、ラジオ等の媒体でインタビュー取材を受けているのを見たことが無かったし、公の場所での講演会、討論会のたぐいにも顔を出すことがほとんど無い。それ故のことなのだろう、一昨年にイスラエルの「エルサレム賞」という賞を受賞したときの授...
村上春樹という作家は素顔を晒さない作家である。例えばTV、ラジオ等の媒体でインタビュー取材を受けているのを見たことが無かったし、公の場所での講演会、討論会のたぐいにも顔を出すことがほとんど無い。それ故のことなのだろう、一昨年にイスラエルの「エルサレム賞」という賞を受賞したときの授賞式でのスピーチは、数多の日本人に対して、強烈な印象を与えたのだ。あの村上春樹が? 何故日本ではなくイスラエルで? といった反応が噴出していたことを想い出す。それは今なお強固なイメージとして人々の記憶に刻まれたものとなっている。 そんな作家・村上春樹の素顔をことさら明るみに出して、「秘密」を暴こうとするのが「村上春樹の秘密」のテーマかとも思わせる。確かに春樹さんの父親がお寺の僧侶であり進学高校の国語の教師を退職した後に住職として寺を継いだこと、家では毎日仏壇の前でお経がとなえられていたこと、春樹さん自身は太る体質なので走ることを欠かさないようにしていること、等々の隠されたエピソードの数々を暴いてみせる。当書の構成上は「アメリカ文学の影響」「愛と性行為の意味づけ」などが盛り込まれているが、常識的な分析にとどまっており、あくまで主体は春樹さんの「隠された素顔」を暴いていこうという意図が臆することなく記されていくのだ。 著者の柘植氏は、東大出身で現在は専修大学名誉教授。文芸評論家という肩書きを持つそうだがこれまで彼の評論を読んだ記憶が無い。大学教授という職業柄得た情報もあるのだろうが、これだけ村上さんの私生活を事細かに詳らかにできるのは相当なおたく的情熱を注いだことに依るのだろう。読んだ読後感は悪くは無かったが、当の村上さん本人が読んだらどう思うのだろうか? プライバシーを侵害されたと感じるのではないかと、余計な邪推もしてみたくなるのである。
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村上春樹さんの事に詳しくなれました。 よみやすくてよかったと思います。 村上さんの本をよんで村上さんがどういう人なのかなあと 思い始めたばかりの人におすすめかもしれません。 ぼくがそうでしたから。
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