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学校ソーシャルワーク実践 の商品レビュー

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2010/10/02

アメリカから始まったスクールソーシャルワークの歴史と変遷、他の国でどのように実践されているかの紹介に続いて、日本国内におけるこの分野での経緯や、これからの展望について書かれている本です。 表題の「学校ソーシャルワーク」という言葉は、アメリカの「スクールソーシャルワーク」を日本の...

アメリカから始まったスクールソーシャルワークの歴史と変遷、他の国でどのように実践されているかの紹介に続いて、日本国内におけるこの分野での経緯や、これからの展望について書かれている本です。 表題の「学校ソーシャルワーク」という言葉は、アメリカの「スクールソーシャルワーク」を日本の法体系に照らし合わせて、著者が名付けた言葉です。このように、言葉の定義づけなども厳格で、ちょっとした論文を読むような感じの内容になっており、気楽に読み進むといった類の本ではないかもしれません。 ソーシャルワークの実践モデルとして、これまで国際的に広く採用されてきた、「一般システム論的視点」、「生態学的視点」、「エンパワメントの視点」などを踏まえた上で、日本国内の実践において、著者は「パワー交互作用モデル」を示しています。簡単に言うと、親や教師などから児童生徒への権威的・権力的パワーの行使が、子どものパワーを減退させる原因になってバランスが崩れるので、そこを手当てしていく、という視点です。 具体的な実践方法は本書に譲るとして、このようなソーシャルワークを展開していく上で、他の国と同様に専門のソーシャルワーカーを設置する必要があることは言うまでもありません。本書の中でも、学校不適応生徒への対応について、小中学校の教頭のほとんどが「教員のみの対応ではもう限界」「専門分化した役割分担が必要」と回答しているというアンケート調査が紹介されています。 僕は、小学生の子どもの親という立場から、学校にいろいろと関わっています。社会福祉分野においてあまり知識を持っているとは思えない先生方の子どもへの対応を目にする機会も多く、校内にそのようなソーシャルワーカーがいれば、と考えるようになるのはとても自然なことです。 既存のシステムの中で行なう改革は、なかなか棘の道であることが予想されますが、子どもたちの教育をおろそかにする社会に未来は絶対にありません。「学校ソーシャルワーク」への取り組みは、不可避であり、急務であると考えます。

Posted byブクログ