憂愁夫人 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
半世紀もの間、私の座右にある物語。ロシア文学に傾倒しながらも、このドイツ文学に心酔した。本来、自己変革の物語なのだが、私は恋愛小説として読んでいた。人間に苦悩と憂いをもたらすというドイツの伝説的妖魔「憂愁夫人」。彼女に纏わりつかれている男性主人公の苦闘が、リアリズムの筆致で描かれている。幼友達である女性だけが、仄かな希望だ。
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大雑把に言うと束縛からの解放を描いた作品でしょうか。貧しい家に生まれたパウルは他人の為に自分を枷にはめる人生を送るのですが、それは決して自己犠牲などではなく卑屈さからくるものなので苛立ちを覚えるかもしれません。「人間はどこまでもあきらめをつけるように努めなくちゃならない」身の程を...
大雑把に言うと束縛からの解放を描いた作品でしょうか。貧しい家に生まれたパウルは他人の為に自分を枷にはめる人生を送るのですが、それは決して自己犠牲などではなく卑屈さからくるものなので苛立ちを覚えるかもしれません。「人間はどこまでもあきらめをつけるように努めなくちゃならない」身の程をわきまえすぎたこの自己評価の低い精神は、現代ではなかなか受け入れられないでしょう。自分に自信をなくしていたり、落ち込んでいる人なら途中で嫌になってしまうと思うので、そういった方には勧められない作品ですが、深く考えさせられました。
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