思想史家が読む論語 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
子安宣邦『思想史家が読む論語 「学び」の復権』岩波書店、読了。「論語」ほど注解の多い書物はあるまい。しかし、オリジナルとコピーの豊穣さが読み手を幻惑してしまう。本書は、思想史を踏まえた上で、「読む」意義を一新する一冊。本書を読むうちに「論語」と対話する自身を再発見する。 著者が重視するのは、「論語」が弟子たちとのやりとりということ。「論語」自体対話形式だが、副題「学び」の復権こそ、孔子の眼目ではなかったのか。本書は著者の市民講座が素材だが、その講義は、自発的に学ぶ意義を問い直す。 「われわれが見出すのは、なお可能性をもって開いているテキストである。われわれがなお意味を問いうる可能性をもったテキストとして『論語』を見出すことである」。 http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0234760/top.html
Posted by
孔子は常に弟子たちとともにあった。孔子の言葉は、概念化・一般化した抽象的なものではなく、語っている相手に即して具体的だった。後世、さまざまな人たちが『論語』を読解して一般化につとめていく。『論語』の上には幾重にも先人たちの読みが堆積している。だが、孔子が最初に問いかけた言葉はいつ...
孔子は常に弟子たちとともにあった。孔子の言葉は、概念化・一般化した抽象的なものではなく、語っている相手に即して具体的だった。後世、さまざまな人たちが『論語』を読解して一般化につとめていく。『論語』の上には幾重にも先人たちの読みが堆積している。だが、孔子が最初に問いかけた言葉はいつも読みの可能性に開かれている。『論語』というテキストの原初性に向けて、思想史家の読解が始まる。学ぶことの愉しみに満ちた論語講義。
Posted by
- 1