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たましいを運ぶ舟 の商品レビュー

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2011/11/26

「四十代 この先生きて何がある 風に群れ咲くコスモスの花」 筆者には十年ほど前この歌で出会って、歌集やエッセイを何冊か読んできた。これは久々のエッセイ集。 所々に挿入される短歌が心にしみる。とりわけ、筆者の師である近藤芳美や、斎藤史、中城ふみ子といった歌人について書かれた章が鮮...

「四十代 この先生きて何がある 風に群れ咲くコスモスの花」 筆者には十年ほど前この歌で出会って、歌集やエッセイを何冊か読んできた。これは久々のエッセイ集。 所々に挿入される短歌が心にしみる。とりわけ、筆者の師である近藤芳美や、斎藤史、中城ふみ子といった歌人について書かれた章が鮮やかで印象的だ。 道浦さんは私より一回り年上の、まさに団塊の世代の人だ。この年代の方が書かれたものを読むと、私はしばしば、そのくそ真面目さに少し辟易しつつやっぱりどこか深いところで共感する、という気持ちになる。筆者もそういう思いを呼び起こす方の一人だ。 「団塊の世代」については色々語られているが、私が忘れられないのは、村上春樹さんが「村上朝日堂はいかにして鍛えられたか」の最後で書いていたことだ。村上さんが高校生だった時、被差別部落の存在すら知らず、まったく自覚のないままに同級生のある女子を酷く傷つけてしまったことがあった。そのときクラスの女子全員がしばらくの間彼とはまったく口をきいてくれなかったそうだ。「そのときにみんなで結束して、僕とひとことも口をきいてくれなかったクラスの女の子たちのことを思いだすと、今でも少し胸が熱くなる」と村上さんは書いている。確かにこういう正義感と団結心は(自分も含め)その後の年代には薄いように思う。エッセイの最後はこう結ばれている。「僕らの世代は−もし仮に世の中に良い世代や悪い世代なんてものがあったとしても−みんながいうほど悪い世代じゃなかったと僕は思っている」

Posted byブクログ