春の小夜 の商品レビュー

松本侑子【著】

2022/04/14

心温まり、そして主人公の気持ちに寄り添えて、すっかり没入してしまう魅力的な短編５つ。「夜間飛行」44歳のバツイチ女性実咲の後悔を含んだ淋しい心持ちには心痛むが、「風変わりな女の子」は大学を卒業して20年を経て会った女性美砂との甘い思い出。「人なつこい」猫好きの青年と馴れ馴れしい派手な女性の光惠の出会いの妙。「夜ごとの美女」はパリを舞台としたマルタンとミレーユのうっとりするようなファンタジー。「春の小夜」は書店の40歳の店主鍵田への17歳の少女さよの淡い恋の美しさが印象に残る。５編とも胸キュン小説。

2021/01/24

松本侑子さんの短編集です。

「夜間飛行」「風変わりな女の子」「人なつこい」「夜ごとの美女」「春の小夜」の5篇が収録されています。

商店街で小さな本屋を営む鍵田は、万引きしようとした高校生の少女さよの境遇を知り、複雑な思いに駆られます。

40歳の鍵田と17歳のさよ、親子ほどに年が違う2人の愛の形を描いた表題作を含め、愛しい切ない愛のお話が繊細な文章で綴られています。

いつまでも余韻が残る「夜間飛行」が個人的に良かったです。

2019/10/23

松本侑子　著「春の小夜」、２０１０．３発行、夜間飛行、風変わりな女の子、人なつこい、夜ごとの美女、春の小夜の短編５話が収録されています。猫やバッタなど生きものの命をテーマにした「人なつこい」、人形が美女に姿を変え恋をするロマンティックな物語「夜ごとの美女」、秀逸でした。伝記や翻訳の多い著者と思っていましたが、小説もなかなか味わい深かったです。

2014/03/18

短編であっという間に読み終えた。
過去の自分の思い出と重なって、懐かしい、切ない気持ちになる。特に学生時代のお話。あの頃に戻りたくなった。

2012/11/23

短編。

離婚歴ありの40歳独身の働く女性の孤独な夜。

学生時代に気になっていた人と同窓会で再会することになった色あせることのない青春時代。

偶然拾った野良猫を飼うことになって、失った恋人から新たに得た賢い猫と出会い。

パリにて、二人の思いは互いに同じだった若い男女が、愛と将来に翻弄され離ればなれになってしまってからの再会。

妻に逃げられ一人で本屋を営む鍵田のもとに、家庭環境が複雑だが本好きで鍵田にも思いを寄せる高校生の小夜が、蝶のように舞い降りてきた。

風変わりな女の子と、人なつこいが好きかな～。
切り裂かれた現実と、最後に残る希望が、どれもあってなんだかどんよりしたりしんみりしたりな感じ)^o^(

2012/10/21

短編集。
いろんな話があったのに、一番覚えてるのが大学生の時の恋愛。端からみるとどんなに成功してるように見える人でも、実際は違うんだな、とか、あたしも大人になったら大学時代の恋愛を懐かしく思ったりするのかなとか。

2010/05/03

商店街で小さな本屋を営む鍵田は、万引きしようとした高校生の少女さよの境遇を知り、複雑な思いにかられる…あこがれと現実の間で揺れるふたりの恋の行方を描いた表題作。年下の青年、忘れえぬ初恋の人、野良猫、不思議な美女、孤独な少女によせる遠い思い出の甘くてせつない5つの愛のかたち。愛の喪失、青春の郷愁、ささやかな魂の小説集。