第三セクターの経営改善と事業整理 の商品レビュー
第三セクター改革に関心を持つかたには非常にオススメの一冊です。内容的にはこの一冊でかなり第三セクター改革の理論・実践の両面が理解できる良書です。 自治体財政健全化法が2009年4月に全部施行され、実質赤字比率、実質公債費比率、連結実質赤字比率、将来負担比率の基準値を超過すると、...
第三セクター改革に関心を持つかたには非常にオススメの一冊です。内容的にはこの一冊でかなり第三セクター改革の理論・実践の両面が理解できる良書です。 自治体財政健全化法が2009年4月に全部施行され、実質赤字比率、実質公債費比率、連結実質赤字比率、将来負担比率の基準値を超過すると、早期健全化団体に指定されるようになりました。 このキモは将来負担比率であり、自治体本体の地方債残高に加え、地方公社、損失補償契約を締結する第三セクターの負債のうち、将来発生すると予想される負債を反映したものとなります。連結実質赤字比率も同様ですが、既存の地方財政制度の中で抜け落ちていた公社、第三セクター等を自治体経営の管理下として置くために必要な措置です。 この健全化法とともに第三セクターの改革の一層の推進を図るため、第三セクター改革債が2013年度までの時限的措置として盛り込まれています。この改革債を用いることで、改革に伴う自治体財政の一時的な負担を平準化することが可能になります。 この本では、第1章で第三セクターの経営状況を総務省「第三セクター等の状況に関する調査」の個票データを用いて、数値的に分析を行っています。その上で、第2章で自治体財政健全化制度下の第三セクターを地方財政全体や財の特性から位置づけています。 第3章では、第三セクターを実際に改革するにあたっての改革プランの策定方法をフレームワーク等を用いて整理しており、具体的に進める場合の指針を示し、第4章では、点検と監査の充実を示しています。 第5章では、第三セクターの法的整理・特定調停の事例をていねいに分析し、特定調停が選好されやすい理由(金融債権者のみの整理を優先させること)やどのような場合にどのような手法を使うか等を明らかにしています。第6章では、第三セクターに対する自治体の信用力供与の一塁系である損失補償裁判例を整理し、裁判における損失補償契約の有効・無効の判断基準等を説明しています。 第7章では、第三セクター問題の本質を理論的に整理し、あるべき第三セクター改革の展望について示しています。
Posted by
- 1