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日本語は国際語になりうるか の商品レビュー

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2024/05/15

『日本語は国際語になりうるか―対外言語戦略論』(1995年、講談社学術文庫)のほか、9編の論考を収録しています。 戦後において、日本は急速な経済成長を成し遂げ、世界中の人びとが日本語を学び、日本から発信されている情報を得たいと考えるようになりました。ところが日本人はというと、自...

『日本語は国際語になりうるか―対外言語戦略論』(1995年、講談社学術文庫)のほか、9編の論考を収録しています。 戦後において、日本は急速な経済成長を成し遂げ、世界中の人びとが日本語を学び、日本から発信されている情報を得たいと考えるようになりました。ところが日本人はというと、自分たちの言語を英語などにくらべて不明瞭なものと考えており、また外国人にとって学習することがきわめて困難な言語だという思い込みをいだいているために、世界に日本語を普及することに対して積極的な態度をとってきませんでした。さらには、戦前に朝鮮半島や台湾の人びとに日本語を押しつけたことへの反省もあって、日本語を世界に普及させることを侵略とみなすような考えかたもなされてきました。 著者は、このような考えかたの誤りを正し、日本人は日本語を世界に普及させることに努めるべきだと主張します。そのさいに、上のような日本語のとらえかたが日本人にひろまった理由を文化的な背景にまでさかのぼって解明するとともに、現代の国際社会において使用される言語をめぐって活発な論争がなされていることに触れ、平和大国であるとともにいまや経済大国となった日本にとって日本語の国際社会での地位を向上させる努力をおこなうことがなぜ求められているのかということについても考察を展開しています。 社会言語学的な観点からの考察としては、著者の言語に対する見かたは、やや狭きに失するのではないかという印象もあります。

Posted byブクログ