ティムール国のゾウ使い の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ティムール帝国について、昔本を読んだことがあったのですが、30年以上たち忘れてしまった。小説でも読んで思い出そうとこの本を読んでみました。 ティムールがインドに攻撃をしかけ、虐殺、略奪をおこない、故郷サマルカンドに帰る物語です。その行程をどうこうする一般の少年兵と捕虜になったインド人のゾウ使いの視点から描きます。主人公の兄、兄嫁、ティムールの年代記作者など、登場人物は多くはありませんが、歴史的な出来事を見てきたような気にさせる描写力はさすがです。 ティムールの人物像はどちらかというと残忍な人柄として描かれています。人間ティムールに迫るものではありません。しかし、周辺国を制圧し、奴隷を殺害したということがティムールの所業(偉業)に巻き込まれた市井の人がどうなったのかを描きたかったのだと思います。 その意味で、作者の意図は達せられたのかもしれません、読み物としても読めるレベルでした。
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ティムール帝国を舞台とした12歳の敵と味方の少年二人のお話。 マコックランはどの本も毎回違った時代や土地が舞台。内容はリアルな描写はないけど虐殺に次ぐ虐殺、終わり方もハッピーエンドでないような微妙な感じが児童向けというより、ヤングアダルト向けだと思った。 なのに装丁と挿絵が子...
ティムール帝国を舞台とした12歳の敵と味方の少年二人のお話。 マコックランはどの本も毎回違った時代や土地が舞台。内容はリアルな描写はないけど虐殺に次ぐ虐殺、終わり方もハッピーエンドでないような微妙な感じが児童向けというより、ヤングアダルト向けだと思った。 なのに装丁と挿絵が子供っぽすぎて合っていない。勿体無い。
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どんどん他国を征服していくティムール帝国の軍に属する少年ラスティは、インド侵攻の際、ひょんなことから帝王ティムールその人じきじきにゾウの世話を命じられ、捕虜としたゾウ使いのカヴィと次第に仲良くなる。あまり言葉が通じないまま二人は一度別れるが、再び捕えられ再会した時、カヴィはティム...
どんどん他国を征服していくティムール帝国の軍に属する少年ラスティは、インド侵攻の際、ひょんなことから帝王ティムールその人じきじきにゾウの世話を命じられ、捕虜としたゾウ使いのカヴィと次第に仲良くなる。あまり言葉が通じないまま二人は一度別れるが、再び捕えられ再会した時、カヴィはティムール帝国への燃えるような復讐心を裡に秘めており・・・? というような話。 舞台も年代もYAとしては珍しいので読んでみた。 自国至上主義で征服した他国とその民を心底見下していた主人公が、カヴィと知り合い、また、ティムール朝年代記の執筆者と近づきになるうちに次第に考えを変えていき、途中で思わぬ事実も明らかになり、クライマックスへと向かう。 復讐が為されるのか否かが最大の読みどころだと思うけど、その後も描かれており、どう感じるかは読み手次第という感じ。 しかしティムールめちゃくちゃやってたんだな。
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14世紀の中央アジア。諸国を征服しながら進むティムールの軍隊にいた少年ラスティは、インドのデリーでゾウを捕虜にするよう命じられる。一方、捕虜として捉えられたゾウ使いの少年カヴイは、少女のふりをしてゾウの世話をすることになった。敵同士の二人だったが、ゾウを思う気持ちは同じ。いつしか...
14世紀の中央アジア。諸国を征服しながら進むティムールの軍隊にいた少年ラスティは、インドのデリーでゾウを捕虜にするよう命じられる。一方、捕虜として捉えられたゾウ使いの少年カヴイは、少女のふりをしてゾウの世話をすることになった。敵同士の二人だったが、ゾウを思う気持ちは同じ。いつしか友情のようなものが芽生えるが…。歴史の中に埋もれた子どもたちを生き生きと描き出す、マコックランの筆力はさすが。
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