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小布施 まちづくりの奇跡 の商品レビュー

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9件のお客様レビュー

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2023/11/26

川向正人『小布施 まちづくりの奇跡』新潮新書 読了。伝統的な街並み保存ではなく、生活者が調和を保たせながら景観を修正していく「修景」によって行われてきたまちづくりを解説する。些細な工夫や地道な努力の積み重ねこそが魅力の形成に不可欠で、一朝一夕の「まちおこし」的手法では到達できない...

川向正人『小布施 まちづくりの奇跡』新潮新書 読了。伝統的な街並み保存ではなく、生活者が調和を保たせながら景観を修正していく「修景」によって行われてきたまちづくりを解説する。些細な工夫や地道な努力の積み重ねこそが魅力の形成に不可欠で、一朝一夕の「まちおこし」的手法では到達できない。

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2022/03/26

小布施を訪れたのは昨年秋。まちづくりの稀有な成功例として取り上げられることが多い小布施町。訪れたときもたくさんの観光客で賑わっていた。 日本人が共有する原風景を喚起するような要素で構成されたまち。そして、とくに感じたのは、まち全体に調和があること。まちと言っても、実際の町の一部...

小布施を訪れたのは昨年秋。まちづくりの稀有な成功例として取り上げられることが多い小布施町。訪れたときもたくさんの観光客で賑わっていた。 日本人が共有する原風景を喚起するような要素で構成されたまち。そして、とくに感じたのは、まち全体に調和があること。まちと言っても、実際の町の一部、整備が進んだ区画だけだけれど、そのまち全体がまるで1つの空間であるかのように、建物だけではなくその間の通り(隙間)も含めて、同じ意思が込められ、作り上げられていることが至るところから滲み出てる。それはわざとらしくなく、押し付けがましくもない。まちの居心地の良さが生み出されてる。 形、形式だけを真似て整備される街並み保存、観光地化を目指したこれまでのまちづくりとは違う意思、方法によって作られたものだからこのまちができた。まちづくりの経緯、取り組み、そして、それを成功に導いた要因。本書ではその中身を詳しく綴っている。 表面的な形式保存ではなく、住民が歴史文化の豊かさを実感できる日常的な生活環境の整備を目指したこと。まちに誇りをもち、大切にする、そんなまちの存在を目指したことがこの成功の土台にある。 住民が望む形をコーディネートし、それを作り上げることができる、土地に密着した建築家(宮本忠長)。同じ意思を共有できる建築家を重用し、周りを説得する気概と見識をもっていたリーダー。行政だけに頼るのではなく、自分たちの力でその道を歩き続けている住民。それぞれが目指すまちづくりを議論し、ゴールを共有し、それを作り上げるための方法を考え、それを実行した。 関わる人間たちの意思、そのバランスが他にない成功へとつながっている。 小布施の事例は、夢を見させてくれる。将来、そしてその可能性。自分に何が出きるのか、もっともっと考えていきたくなった。 宮本は、建築設計にたずさわる者にとって「まちづくり」が大きな課題であることを強調したうえで、その「まちづくり」に取り組む心構えを、次のように語っている。「まちづくりには長い時間がかかり、10年、20年ぐらいのスタンスで考えなくてはならないし、建築家側もそれに取り組む姿勢がなければいけません。もう一つは、地域との関係です。(まちづくりは)どこまでが仕事でどこまでが仕事でないか分からない、そういったルールの世界に融け込むわけですから、自覚がないとできません。犠牲になることろはたくさんあるが、一つの使命感をもち、環境デザインとはこういうものだという自覚をもって、取り組まねばなりません。ただ表面的につくり上げて、まちづくりができた、というものではありません。」

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2013/04/29

昨年、小布施若者会議でお世話になった小布施町のまちづくりの歴史を綴った本。あまり予備知識なく訪れてしまったが、泊めていただいた市村良三町長のお宅をはじめ、修景という一大プロジェクトが民間主導で行なわれたことが理解できた。 修景は建物単位で昔ながらの風情を再現する街並み保存と違い...

昨年、小布施若者会議でお世話になった小布施町のまちづくりの歴史を綴った本。あまり予備知識なく訪れてしまったが、泊めていただいた市村良三町長のお宅をはじめ、修景という一大プロジェクトが民間主導で行なわれたことが理解できた。 修景は建物単位で昔ながらの風情を再現する街並み保存と違い、あくまで現代社会の日常の暮らしを守りつつ全体のバランスを調和させる手法。建物単位ではそれぞれの家主や建築家の意図で、結果的には街並みがバラバラになってしまうところ、家の屋根の向きや角度を統一し、建物の位置関係で塀などを無くして生け垣や樹木による滑らかな境界線を描いている。 その結果、修景地区と言われる街の中心部には12000人の人口の100倍の観光客が訪れ、また栗の小径やオープンガーデンといった普通の暮らしの風景が観光資源になるなど、住民参加型でまちづくりを進めている全国でも稀有な地域となっている。 観光需要によって税収が増加して、さらにそれを起業を志す若者たちに再投資することで雇用を創出するといった経済と人材の循環が生まれている。他の地域が真似しようと思っても、小布施町のように合併を拒み自治的に20年もまちづくりを進めてきた地域には決して追いつくことはできないだろう。 まちづくりとは、もちろん経済と人材を抜きにしては語れない。だがそれらの要件を満たすためには、修景のような目に見える事業も必要なのだ。

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2012/08/01

長野県小布施町がいかに「奇跡」であったかがわかる本。 小布施に行く前に読むと、気付かなければ通り過ぎてしまうようなことが、 人々の尽力に依って成立しているかが理解できる。 そして、小布施に行くと「これで奇跡か」と考えさせられる本。 1万人の人口に対し、年間100万人の観光客がやっ...

長野県小布施町がいかに「奇跡」であったかがわかる本。 小布施に行く前に読むと、気付かなければ通り過ぎてしまうようなことが、 人々の尽力に依って成立しているかが理解できる。 そして、小布施に行くと「これで奇跡か」と考えさせられる本。 1万人の人口に対し、年間100万人の観光客がやってくることは素晴らしい。しかし、中心部の世界に通用するクオリティーと農村部の差は埋めがたい。でも文化だ、それも。埋めなくていいのだ。 もやもやする中、「オープンガーデン」の取り組みは素敵だ。 一般家庭のお庭を開放しているこの事業。「30年間でもっともお金がかからず、もっとも成功した事業」とは、確かにその通り。 日本でこういった許容範囲の広さを見られるとは思わなかった。 素敵です。

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2011/10/30

小布施に行ってみたくなる本です。町の名士、政治、経済界がひとつになって、少しずつステップを踏みながら町を整えていく姿に感心しました。 先日、実際に小布施に行ったところ広くはない町なのですが、コンパクトに見所があって楽しむことができました。オープンガーデン、栗の小径、北斎館等々充...

小布施に行ってみたくなる本です。町の名士、政治、経済界がひとつになって、少しずつステップを踏みながら町を整えていく姿に感心しました。 先日、実際に小布施に行ったところ広くはない町なのですが、コンパクトに見所があって楽しむことができました。オープンガーデン、栗の小径、北斎館等々充実した旅になりました。

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2011/07/30

人口1万2千人の長野県小布施町に年間120万人の観光客が訪れると言う。人口の実に100倍の観光客が訪れるまちとはどんなまちなのか、その秘密を知りたくて読んだ。 作者は東京理科大学の教授で、「小布施まちづくり研究所」の所長も務める川向正人氏。 建築士の観点から、利便性ではなくデザイ...

人口1万2千人の長野県小布施町に年間120万人の観光客が訪れると言う。人口の実に100倍の観光客が訪れるまちとはどんなまちなのか、その秘密を知りたくて読んだ。 作者は東京理科大学の教授で、「小布施まちづくり研究所」の所長も務める川向正人氏。 建築士の観点から、利便性ではなくデザイン性を重視したまちづくりの経緯は興味深かった。 日本は高度経済成長時代から、景観やそのまちの文化を無視して、開発をやってきた。しかし、建築の文化、とくにまちの文化は、一度壊したら戻らない。そのあたりをふまえて、「修景」のまちづくりを学ばなければならない。 松岡正剛が初期の段階で目をつけたのが建築。 建築の内容を把握しながら、もう一度精読する価値あり。

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2011/05/23

[ 内容 ] 毎年一二〇万人の観光客が訪れる長野県小布施町。 この小さなまちの何に、人々は惹きつけられるのか―。 そのヒントは、「修景」というまちづくりの手法にあった。 伝統的な町並みに固執しすぎない。 とはいえ、まちの歴史をまったく無視した再開発でもない。 いまあるもの、そこに...

[ 内容 ] 毎年一二〇万人の観光客が訪れる長野県小布施町。 この小さなまちの何に、人々は惹きつけられるのか―。 そのヒントは、「修景」というまちづくりの手法にあった。 伝統的な町並みに固執しすぎない。 とはいえ、まちの歴史をまったく無視した再開発でもない。 いまあるもの、そこに暮らす人々の思いを大切にしながら、少しずつ景観を修復して、まちをつくってゆく。 奇跡ともいわれる小布施流まちづくりを内側から描き出す。 [ 目次 ] 第1章 北斎に愛された小さなまち(ヨーロッパのような印象深い景観;五感で楽しめる凝縮した集落;人口の一〇〇倍の観光客が訪れるまち ほか) 第2章 過去を活かし、過去にしばられない暮らしづくり―修景(伝統的町並み保存との根本的な違い;そこに住み、働く人たちが主役;当事者すべての希望をかなえること ほか) 第3章 世代を超えて、どうつなぐか(信頼関係の成熟が「内」を「外」に変える;世代交代でゆらぐ、まちづくりのイメージ;古い商店街が空洞化するメカニズム ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

Posted byブクログ

2011/03/03

修景とランドスケープ的な手法。街並み景観については、どうしても建物とその保存についてに焦点が当たりがちだが、庭や生活道も含めて「らしさ」を追求していくべきという事を再認識。結果観光の町。学ぶ所は多い。

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2010/05/09

長野県・小布施町のまちづくりの軌跡がわかりやすくまとめられています。湯布院や臼杵のまちづくりと対比させて読むことができました。ぜひ小布施にも今度訪れてみたいです。

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