「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」 の商品レビュー
ベトナム戦争に従軍した元海兵隊員の独白録。戦争=人殺しの悲惨さはもちろんだが、米国に根強く残る人種差別問題、沖縄問題も考えさせられる。差別意識が行きすぎると、相手を自分と同じ人間と思わなくなり、暴力や略奪、そして殺人へと簡単にエスカレートしてしまうのだと思う。そもそも人間と思って...
ベトナム戦争に従軍した元海兵隊員の独白録。戦争=人殺しの悲惨さはもちろんだが、米国に根強く残る人種差別問題、沖縄問題も考えさせられる。差別意識が行きすぎると、相手を自分と同じ人間と思わなくなり、暴力や略奪、そして殺人へと簡単にエスカレートしてしまうのだと思う。そもそも人間と思っていないから、命を奪っても何にも感じなくなる。全ての発端は差別意識なのだと思う。**ファーストという考え方はやはり危険だ。著者の語り口がシンプルで、それだけにとても印象に残る。
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往来堂書店「D坂文庫2014冬」から。ベトナム帰還兵が書いた一冊。 帰還後ホームレスになったネルソンに、小学校の教師をしている同級生が声をかけ、四年生を相手に戦争の話をすることになった。そのとき、ある女の子から出された質問がこの本のタイトル「あなたは人を殺しましたか?」彼は腹を殴...
往来堂書店「D坂文庫2014冬」から。ベトナム帰還兵が書いた一冊。 帰還後ホームレスになったネルソンに、小学校の教師をしている同級生が声をかけ、四年生を相手に戦争の話をすることになった。そのとき、ある女の子から出された質問がこの本のタイトル「あなたは人を殺しましたか?」彼は腹を殴られたような衝撃を受け、目を閉じ、YESと言うべきか、NOと言うべきか逡巡し、気がつくとつぶやくようにYESと答えていた。人殺しであることを子供たちの前で認め、ここに来るべきではなかったと後悔したその刹那、質問主である女の子が彼の腰に手を回し、瞳に涙を浮かべて「かわいそうなミスター・ネルソン」とつぶやいた。彼の目からも涙がこぼれ、クラスの子供たち一人ひとりが彼を抱きしめに集まってきた。そして、これをきっかけにネルソンは戦争を語ることを始める。 「本当の戦争は無慈悲で残虐で愚かで、そして無意味です」という彼の静かな語りかけが、重くゆっくりと心を揺さぶる。
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兵士が戦場で何も感じずに人を殺すようになっていくさまが分かる。 国が殺人機械を養成して戦場へ送り出す。 フィクションの描く戦争は戦争の本質を伝えていない。 戦争は残虐に人を殺す。愚かで、無意味だ。
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貧困家庭に育つ子供と暴力、そして軍隊、戦争、人の命を奪うこと、アメリカにとっての「オキナワ」…………たくさんの気付きが与えられる良書でした。
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あなたはヒト殺しですか? 兵士を経験した私たちの親戚、 おじいちゃんのなかに 事実を話せるヒトがどれだけいただろう。 ネルソンさんの勇気、尊敬する。 戦争って、すべて失う。 終戦はない。自分が終わるまで。 泣けた。 戦争。 してはいけない。 けしかけてもいけ...
あなたはヒト殺しですか? 兵士を経験した私たちの親戚、 おじいちゃんのなかに 事実を話せるヒトがどれだけいただろう。 ネルソンさんの勇気、尊敬する。 戦争って、すべて失う。 終戦はない。自分が終わるまで。 泣けた。 戦争。 してはいけない。 けしかけてもいけない。 脅してはいけない。 なのに。 今の政治家を見ると、 堕ちたな、と思う。 アメリカの人種差別しかり、 日本の格差社会しかり、 政府が放ったらかしであるのは、 ネルソンさんのような行き場のないヒトを作り、 利用したいからではないかと思う。 自衛隊の最高指揮官を 時の政治家に任せていいのだろうか。 基地はほんとに必要なんだろうか。 国防という名の応戦は、 ほんとに必要なんだろうか。 大切な自衛官をヒト殺しにしていいのだろうか。
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戦争モノの映画や小説など世界にはたくさんの「戦争フィクション」がある。 それらが束になっても、この血の通った本当に戦場に行ったネルソンさんの本ほどの、リアリティはないだろう。 この本を読んで初めて、戦争中の心理状態、戦争後の心理状態を感じることができた。
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これまで読んだ本の中でも、最も泣いた5冊に入る。 一冊を読み終えた後で、「ね、だから戦争はダメなんだよ」って言えば、すべてがわかってしまいそうな、そんな本。 とにかく、涙しかでない。すごい本だ。
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ベトナム戦争で戦った元米軍兵士の手記を初めて読んだ。兵士が語る戦争体験ものって、実はフィクション(「野火」とか)しか読んだことがなかったのに気づいた。 貧しい黒人の若者が入隊して、研修で徹底的にしごかれて自分でモノを考えられないようにするというくだりの描写が、日本の部活動とか学校...
ベトナム戦争で戦った元米軍兵士の手記を初めて読んだ。兵士が語る戦争体験ものって、実はフィクション(「野火」とか)しか読んだことがなかったのに気づいた。 貧しい黒人の若者が入隊して、研修で徹底的にしごかれて自分でモノを考えられないようにするというくだりの描写が、日本の部活動とか学校教育とダブって怖かった。自分で考えない、感じない、上官の命令にのみ従って動くとどうなるか。恐ろしい。
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帰還兵の手記はたくさんあるが、これは読みやすい上、全く呼び知識のない子供にも戦争の恐ろしさがリアルに伝わる。 飢えから逃れたい、誇りを持って生きたいという貧しく鬱屈した若者を巧みに勧誘して兵士にする。訓練は殺す技術の習得と洗脳。殺す相手は同じ人間ではなく、醜い下等な生き物だから...
帰還兵の手記はたくさんあるが、これは読みやすい上、全く呼び知識のない子供にも戦争の恐ろしさがリアルに伝わる。 飢えから逃れたい、誇りを持って生きたいという貧しく鬱屈した若者を巧みに勧誘して兵士にする。訓練は殺す技術の習得と洗脳。殺す相手は同じ人間ではなく、醜い下等な生き物だから、心を痛める必要はない。それどころか、狩猟感覚で楽しんでよい。そして、それを心から楽しめる鬼畜は、戦場では英雄扱いされる。 著者はベトナム人と会話をし、ベトナム人の女性の出産に偶然出くわしたことで、ベトナム人も自分と変わらない人間だということに否応なく気づかされる。もし、そういうことがなかったら、自分で自分を終わらせたかもしれない。そういう帰還兵もたくさんいたはずだ。 戦場で多くの人を殺し、帰還後PTSDとなり、改めて贖罪に生きる姿は、心を打つ。 この本は、読解力はあまりいらないし、長くないので、是非ともあまり本を読まない中学生に読んでほしい。いざ戦争ということになったら真っ先にリクルートされるような、貧しい家庭の子どもに、親とうまくいっていない子どもに。
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日本のことがやけに多く出てくると思ったら、日本に縁深い方だったんですね。憲法9条の是正は難しいところですが、残していってほしいものだと思います。 ベトナムの方々の方では、どう思っているんでしょう。根強い反日反米感情があってもやむなしという気もします。 米国では退役軍人への手厚いサ...
日本のことがやけに多く出てくると思ったら、日本に縁深い方だったんですね。憲法9条の是正は難しいところですが、残していってほしいものだと思います。 ベトナムの方々の方では、どう思っているんでしょう。根強い反日反米感情があってもやむなしという気もします。 米国では退役軍人への手厚いサポート、民間企業でも割引があったりします。それらは政府による支援があるものと想像しますが、それだけ過酷な環境に派遣していると、政府も把握しているということなんでしょうね。
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