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「感情」の地政学 の商品レビュー

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9件のお客様レビュー

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2022/02/17

希望(未来に対する自信)、屈辱(無力感)、恐怖(アイデンティティの危機)をキーワードに今の世界を分析し、今後の世界を予想する。 希望がアジアに、屈辱がイスラム圏に、恐怖がヨーロッパに蔓延しているとし、それぞれの国の特徴・事例を、これらの感情を代表するものとして紹介する。 が、特に...

希望(未来に対する自信)、屈辱(無力感)、恐怖(アイデンティティの危機)をキーワードに今の世界を分析し、今後の世界を予想する。 希望がアジアに、屈辱がイスラム圏に、恐怖がヨーロッパに蔓延しているとし、それぞれの国の特徴・事例を、これらの感情を代表するものとして紹介する。 が、特にこれらの内容に説得力を感じなかった。適当な感情を挙げても同じような分析は可能だろう。概念を弄しているように見えた。 何より事例の羅列になるのでつまらない。話が具体的すぎて言いたいことが見えてこないし内容が薄い。しかもこの事例分析にかなりのページが割かれており、途中から読むのが辛かった。 暇なときに、ちょっと歴史に詳しい素人のエッセイ的分析を読みたいのならばいいかもしれない。

Posted byブクログ

2019/01/22

イスラエル・パレスチナにも数頁を割いており、あの「紛争」を改めて俯瞰しながら読んだ。屈辱、希望、恐れの感情が自信の在り方を左右し、アインデンティティを揺るがし、人々を分断する構造は、現社会を見ていて納得する。

Posted byブクログ

2019/01/06

グローバル化の進展する現在の国際関係を「感情」という切り口で読み解こうとする論稿。 ここで世界は3つの感情に大きく色分けされます。  「希望」の世界…中国、インドなどのアジア新興国  「屈辱」の世界…アラブ/イスラム世界  「恐れ」の世界…ヨーロッパと米国 この色分け自体は...

グローバル化の進展する現在の国際関係を「感情」という切り口で読み解こうとする論稿。 ここで世界は3つの感情に大きく色分けされます。  「希望」の世界…中国、インドなどのアジア新興国  「屈辱」の世界…アラブ/イスラム世界  「恐れ」の世界…ヨーロッパと米国 この色分け自体は、極めて理解がしやすいものです。 それゆえに、あまり新たな知見を得られたという感じはしなかったのですが… むしろ秀逸だなと思ったのは、何ゆえ感情が国際社会の重要ファクターとなってきたのか、についての考察。 以下、終章より引用します。  無知と不寛容は表裏一体だ。平和と和解は、互いのことを理解し、受け入れる人たちの間にしかあり得ない。情報化時代とはいうが、われわれは他者のことを昔よりよく知っているわけではない。むしろその逆だ。われわれは世界のありようを明らかにするというよりは、むしろ曇らせるイメージやデータに押し潰されそうになっている。世界は今後ますます複雑さを増し、文化、国家、個人はますます自らのアイデンティティに執着するだろう。この執着のせいで、国際政治における感情の重要性は高まる一方だ。  だがわれわれの暮らす、この相互依存的で一体化した世界を把握し理解するのは至難の業だ。それは量の問題であるとともに、質の問題でもある。人類はかつてこれほど数が多く、これほど多様だったことはない。生活様式、価値観、境遇において。これほど変化に富んでいたことはないのだ。このような複雑さを、初めからないものと考えることで免れたくなる気持ちになるのも無理はない。原理主義的宗教や過激なイデオロギーの魅力は、ここにある。この複雑な世界を、単純なスローガンやキャッチフレーズ、絶対的な命令に還元してしまうのだから。 著者は、アウシュビッツを生き抜いた父親の子供として生まれたフランス人国際政治学者で、ハーヴァード大学に学び、現在も同大学の政治学部客員教授という立場にある人物。 その経歴もあり、ヨーロッパ人の感情にかかわる記述には、日本人である自分にはなかなか計り知れないところがあり、なかなか興味深かった。 例えばトルコに対する感情。 トルコはEUへの正式加盟を目指しているが、ヨーロッパ市民の大多数はそれに対してはっきりと反対の立場をとっているという。 その反対姿勢は、理性だけで理解できるものではない。 中東とヨーロッパの架け橋たりうるトルコをむざむざとアジア・イスラム・中東へと押しやることは戦略的には正しくない態度とも言える。 が、ヨーロッパ市民にとって、絶対的他者であるイスラム教徒に対する恐れは絶大で、「トルコを入れる」ことは、多くの意味で直観に反する、強い意志と政治的知見の行為であると認めざるを得ない、と言います。 また、イラク戦争以降その威信を凋落させたアメリカに対するヨーロッパの複雑な感情についても興味深く言い当てています。 冷戦終結後のプロセスの中で、「共通の敵」を失い分裂していくアメリカとヨーロッパ。 アメリカはますますヨーロッパを見下すようになり、ヨーロッパは以前ほどアメリカを必要としていないことに気付いた。 そして、ヨーロッパは、アメリカが弱体化し、世界におけるアメリカのイメージが凋落していることを明らかに喜んでいる。 しかし、その姿勢は意味をなさない。 ヨーロッパには、国際社会で大きな役割を担い、その大きな負担を分担する覚悟はないからだ、と説かれています。 一方で、アジアに関する記述は通り一遍な印象でした。 特に東アジアについてはあまり深い知見を持ち合わせていないような。 日本については、「希望」に支配されたアジアの「例外」として取り上げられているのですが、そのこと自体はその通りだとしても、いまいちピントが外れているように思いました。 朝鮮半島についてもほとんど関心が無いようです。

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2015/11/29

日経新聞でモイジが何か書いてるのを見て、そのまま図書館に予約。 新刊ではないので、すぐに借りれた。 読みやすかったよ。 フランスは、ドイツという強国に隣接し、アングロサクソンのイギリスも近く、アフリカや中東からの移民も多く、アメリカの政治経済とは一線を画する独自の立場を保って...

日経新聞でモイジが何か書いてるのを見て、そのまま図書館に予約。 新刊ではないので、すぐに借りれた。 読みやすかったよ。 フランスは、ドイツという強国に隣接し、アングロサクソンのイギリスも近く、アフリカや中東からの移民も多く、アメリカの政治経済とは一線を画する独自の立場を保っているし、そういう意味では、国際的な政治学というか国際関係論が発達した場所なんだと思う。

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2013/03/10

政治や世界情勢を考える時に地政学は欠かせない。僕らの周りもロシア、中国、朝鮮半島とこれまでのところかなりイケてない。

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2011/09/05

やっと読み終わりました。久しぶりに真面目な本を読んだので時間がかかったけど、非常に読み応えのある本でした。 感情で物事を捉え直す試みは、現状を表すのに、新鮮かつ有効な手段だと個人的には思う。パレスチナやイラク、ルワンダ等に代表される戦争は、血で血を洗う復讐の様相を呈していて、どう...

やっと読み終わりました。久しぶりに真面目な本を読んだので時間がかかったけど、非常に読み応えのある本でした。 感情で物事を捉え直す試みは、現状を表すのに、新鮮かつ有効な手段だと個人的には思う。パレスチナやイラク、ルワンダ等に代表される戦争は、血で血を洗う復讐の様相を呈していて、どうにも綺麗に割り切れない「感情」というものの存在を客観的事実として認める必要があると感じる。 筆者がこれを書いたのは、オバマ当選直後。今の国際情勢に対してはどのような考えを持っているのか、考えは変わったかなどなど、筆者の今の思いが気になるところ。

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2010/08/02

国民の自信は建築や芸術、音楽にあらわれることもある。例えば17世紀オランダの絵画の礼がある。オランダ黄金時代の芸術には、オランダの中流階級の証人が経済的、社会的、政治的に成し遂げたことへの誇りが現れている。 もし20世紀がアメリカの世紀であるとともにイデオロギーの世紀だったという...

国民の自信は建築や芸術、音楽にあらわれることもある。例えば17世紀オランダの絵画の礼がある。オランダ黄金時代の芸術には、オランダの中流階級の証人が経済的、社会的、政治的に成し遂げたことへの誇りが現れている。 もし20世紀がアメリカの世紀であるとともにイデオロギーの世紀だったというのなら、21世紀がアジアの世紀とアイデンティティの世紀。 感情は変えられる。恐れは希望に変えられる。 希望とは自信である。 もし中国が復活したのだとすれば、インドは国際舞台に新来したと言える。 アラブの文学、音楽、映画はほとんど国外に広まっていない。他方、アラブ世界への翻訳を介した西洋文学の流入は近年明らかに増大しているが、まだまだ弱く、そのことはアラブ世界が世界文化の中で孤立していることを物語っている。 サッカーは解りやすい。トルコ系ドイツ人はトルコもドイツも応援する。理由は簡単。ドイツとトルコには植民地時代の負の遺産がない。のに対してアルジェリアとフランスはどちらにとっても忘れ難い歴史を共有している。 西洋世界が直面するアイデンティティの危機は、恐れという概念に要約できる。 ユーゴスラビアとはアラブ化されたヨーロッパのこと。

Posted byブクログ

2010/05/16

勉強不足ながら、iPhone片手に地図を見ながら、用語を調べながら読み進めました。世界情勢を見る上で、また占う上で、大いに示唆に富む一冊だと思う。お薦めです。

Posted byブクログ

2010/04/03

レビューはこちら http://ameblo.jp/w92-3/entry-10498631738.html

Posted byブクログ