歴史は眠らない(2010年 4・ 5月) の商品レビュー
G.W.ニコル著「桜と日本人」は、日本の美意識を代表する桜の定着を都市のなかで考える。「平安貴族の美意識」(14p)は、江戸にもうけつがれ、家康は京都に負けない江戸の桜を都市計画のひとつに位置づける。ソメイヨシノが江戸で改良され、クローンというなのコピー作品と知った。別書で、江...
G.W.ニコル著「桜と日本人」は、日本の美意識を代表する桜の定着を都市のなかで考える。「平安貴族の美意識」(14p)は、江戸にもうけつがれ、家康は京都に負けない江戸の桜を都市計画のひとつに位置づける。ソメイヨシノが江戸で改良され、クローンというなのコピー作品と知った。別書で、江戸の都市計画が京都に似ていると知った。たとえば鬼門に延暦寺と寛永寺を配置した点、桜を植えた点。これまた別書の季語成立にも平安貴族のたしなみが、江戸時代に庶民に根付いたと、ある。歌のステージで凝縮されるが、季語の代表、花=桜の定着とともに興味深い。 堺屋太一著「ニッポン公共事業物語」は、公共事業が「『夢』を叶え(64p)「成功と迷走」のうえに「理想の模索」をめざしているとする(127p)。東京に知の集積がすすみ、特定目的施設は東京に、多目的施設は地方にとする分析(139P)は、やはり「マス」が支持することの、なせる技なりや。
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テレビは少ししか見ないが、このようなテキストは初歩的な理解のためには非常に最適である。 まずはC.W.ニコル(2010.4)「サクラと日本人」。日本人にとって「桜が美しい」という感情がどのような変遷を遂げてきたのかを概説したものである。特に日本人が抱く「桜〈が散る〉」=「死」...
テレビは少ししか見ないが、このようなテキストは初歩的な理解のためには非常に最適である。 まずはC.W.ニコル(2010.4)「サクラと日本人」。日本人にとって「桜が美しい」という感情がどのような変遷を遂げてきたのかを概説したものである。特に日本人が抱く「桜〈が散る〉」=「死」のイメージが、西洋人がフォーカスしている〈咲く〉ではなく、〈散る〉ことにフォーカスされていることによって形成されてきていることに、その日本独特の文化特性を見る。 ただ、近代史の問題もあるせいか、軍隊と桜の関係についての取り上げが弱く、資料も少ない。 次に堺屋太一(2010.5)「ニッポン公共事業物語」。平安京から現代までの代表的な公共事業の変遷をたどる。そして、公共事業が国家の形態や国民の生活や文化にどのような影響を与えたのかを考えつつ、公共事業自体が果たすべき意味を探っていくものである。 中で、堺屋は公共事業を本来「未来を作る仕事」と言う。国家の未来をどのようにしていきたいのかという明確なビジョンの下で、国民全体の幸福のためになされるべきものである。ならば、これからの日本社会にふさわしい公共事業というものも、「新しい公共」や「ベーシックインカム」などが議論されている中に相応なものへと変貌を遂げるべきなのである。
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歴史の観点から、公共事業を読み解く。 放送は第3、4回を見逃した? youtubeにあるかな?
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