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幸せの哲学 「存在」対「効果」 の商品レビュー

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2010/12/25

読む前は、話題のカリスマ経営者の成功論だと思っていた。確かにそのような側面もあるが、読み進むうちに何となく普通の成功哲学とは違っているように思えた。 この人は、どうもお金に執着している様子ではない。お金をたくさん持つことが成功だとはどうも考えていないらしい。 お金はたくさん持って...

読む前は、話題のカリスマ経営者の成功論だと思っていた。確かにそのような側面もあるが、読み進むうちに何となく普通の成功哲学とは違っているように思えた。 この人は、どうもお金に執着している様子ではない。お金をたくさん持つことが成功だとはどうも考えていないらしい。 お金はたくさん持っていたほうがいいが、それを人を幸せにすることに使うことで、幸福感を得ているらしい。 表現が素直だと思う。 お金をたくさん使うことが幸せだと思う、その対象がこの人の場合、人の幸せだった というだけだ と述べている。 まず寄付からはじめよう。 お金が貯まったら寄付をする という人はぜったい将来も寄付はしない。 今ある手持ちのお金の少しを今すぐ人の幸せのために使おう という考え方に共感した。  付属のDVDはもっとインパクトがあった。カンボジアの学校建設にいたる記録、痛々しいスラムの子供の実態、著者のホンネなどが見える。 いくら頑張っても、カンボジアの子供全員を幸せにはできない とはわかっていても、 「 決めた! 俺は、砂に水を撒く ! 」 と叫んだ瞬間は なにか心がスッとした。 この人は単なるカリスマ経営者とちょっと考え方が違うみたいだ。 渡辺氏をもっと知りたいと思えてきた。

Posted byブクログ

2011/02/15

 幸せとはなんだろうか?  お金を儲けること?美味しい物をたくさん食べること?平和に暮らせること?人の数だけ「幸せ」の形があるだろう。本書の著者である渡邉氏は「ありがとう」をたくさん言ってもらうことが幸せだという。私の幸せの形の一つとして渡邉氏と同様に、「ありがとう」を言ってもら...

 幸せとはなんだろうか?  お金を儲けること?美味しい物をたくさん食べること?平和に暮らせること?人の数だけ「幸せ」の形があるだろう。本書の著者である渡邉氏は「ありがとう」をたくさん言ってもらうことが幸せだという。私の幸せの形の一つとして渡邉氏と同様に、「ありがとう」を言ってもらいたいということがある。  このような考えを持っている渡邉美樹氏を紹介しよう。渡邉氏とは、みなさんが一度は行った事があるかもしれない居酒屋「和民」を創設した人物である。また現在のワタミ株式会社代表取締役会長・CEOであり、カンボジアで社会貢献活動をしている公益財団法人「School Aid Japan」の代表理事など他にもさまざまな活動をしている。  本書では「自分の立場を、人の立場にあてはめることができれば、これからの人生を必ず幸せに生きていける」ということをテーマとして記されている。また、「人のために」、「社会をよくしたい」などという視点で新たな生き方の指針や、企業経営における経験、社会貢献活動の経験からいくつものアドバイスがいくつも記されている。 私はその中でも心に残った幸せのための文を紹介したいと思う。3章「日付の入らない夢~新たな生き方、新たな幸せ」での一文、「お金から離れたところに幸せはある」というものだ。渡邉氏も述べているが、幸せを得るためにはお金は必要である。しかし、ただの道具であると考えるべきだろう。欲しいものを購入したり、お金を貯めること自体に喜びを感じる人もいるだろうが、本当の意味での幸せであるとは思えない。これは渡邉氏も述べているが、私も思っていることである。「ありがとう」を言ってもらうためにお金だけで解決することは少ないだろう。私自身、「人のために」行動をしたときにこそ「ありがとう」を言ってもらえた事が数多くある。ファストフード店でアルバイトをしている際に、一番多く言ってもらえたのだ。その体験からも私はお金さえあればいつでも手に入るような「お金による幸せ」よりも、「人による幸せ」の方が得る事が難しい分、それだけ満足を得られると感じた。 本書を読むことで、自分自身の「幸せ」について改めて考える事ができると同時に、渡邉氏がワタミグループで行動しているような社会貢献、ボランティアについての考えが新たな視点から得られるはずだ。そして、社会に対してどのような行動をするべきかを教えてくれるツールになるかもしれない。

Posted byブクログ

2010/09/28

本の題名でもある、「存在」対「効果」についてまず説明しよう。  人間は世の中に存在しているだけで、他人や社会・地球に対して責任が生まれる。これが「存在」である。つまり、私たちが生きているというだけですでに存在価値があるのだ。また、自分という人間が生きていくうえで他人の力を借りてい...

本の題名でもある、「存在」対「効果」についてまず説明しよう。  人間は世の中に存在しているだけで、他人や社会・地球に対して責任が生まれる。これが「存在」である。つまり、私たちが生きているというだけですでに存在価値があるのだ。また、自分という人間が生きていくうえで他人の力を借りている。人間はそれに見合うものを返せなければいけない。その責任をどれだけ果たせるのか、これが「効果」だと言う。ちなみにこの言葉は著者の造語である。  ところで著者の渡邉美樹をご存じだろうか?著者はワタミ株式会社代表取締役会長・公益財団法人SchoolAidJapan代表理事を務めている方である。居酒屋「和民」の開発者であり、ワタミ株式会社を東証一部上場に果たす。著者は、外食を通して介護・環境・農業など多方面にも事業を展開し、社会貢献に努めた。その一つとしてカンボジアの学校建設や孤児院建設に特化している。  わたしがこの本で特に印象的に残っている文がある。 生きている間にどれだけの「ありがとう」を集めることができるのか、それが、その人の深さを決めていく、とわたしは考えています。その意味からも、「人の幸せのために」何かをすることは、実は「自分の幸せ」に何かをしていることと同じなのです。 「ありがとう」と感謝されて気分を害する人などいない。「ありがとう」という言葉はどんな小さなことでも嬉しい。それが人のため・幸せに密接していたらなお嬉しい。私はまた、相手にも「ありがとう」をたくさん作っていきたい。「ありがとう」を言われる人というのはそれ以上に相手に対して「ありがとう」を発信していると考えるからである。それが「人の幸せのために」もなるからだ。「存在」対「効果」も高まる。日常の中でも「ありがとう」という言葉ははっきりと、相手に伝わるように発信している。  またこの本には「50歳の遺書」を収録したドキュメンタリー映像DVDも付いている。私はまず本を読んでからDVDを見るのをおススメする。例えば「雨風さえしのげない家」は、想像以上な家で驚いた。本を読んだだけでは想像で終わってしまいがちだ。より具体的に形となって見えるので、また感じ方が変わってくるだろう。  この本は自らの社会貢献活動を軸に幸せのために何をすればよいかが書かれている。またここでは書ききれない程の著者の思いが詰まっている。この本で「幸福」について改めて考えてみてほしい。

Posted byブクログ